ココニコのキモチ

心(ココロ)+笑顔(ニコニコ)=ココニコ

いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

武蔵野美術大学芸術祭

歩がてらムサビの芸術祭土曜日に行ってきました。
行くと刺激が得られて、元気な気分になるので、娘がムサビを卒業してからも出かけるようにしています。

今年の芸術祭のタイトルは「ビ×ビット」。
ARTとRPGの融合がテーマだそうです。
来場者に美を探すゲームをプレイして欲しいということのようです。
ビ×ビットはビは美、ビットは二進法のことでしょうか。
ココロにビビッとくることを期待しているタイトルでしょうか。

正門です。

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正門の通りはゲームの世界観でした。

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美を探す前に、まずは、学食へ。
11時に到着したのですが、学内をまわっていると間違いなく夕方までかかるので、まずはお食事です。
注文したのはMAUランチ。

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MAUはMusashino Art Universityの略です。
410円でした。
毎年、献立が変わってきていますが、例年に比べるとおいしさに磨きがかかっているように感じました。

食事が終わると、パンフレットを広げて作戦会議です。

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パンフレットは例年、無料で配布していましたが、今年から有料になっていました。
100円です。もう少し高くしてもよろしいのではないかと思いました。
さて、昨年の芸祭や他の場所でみかけて注目した3人の方がいるのでパンフで場所を探して、まずはそこへ出発
3人共に10号館にいました。
3階にあがります。
一人目、通称STUDIO PEANUTSさん。

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ほんわかした感じが自分の好みにあっているというのもありますが、表現の根底に言語化がある方なので、今年はどんなメッセージがあるかなというのが注目ポイントでした。
なすび、ひよこ、ピーナッツ
壁に貼ってあった言葉に目がとまりました。
「きらいだったものが好きなものにかわる瞬間を感じとるたび大人になっていく」
この展示物にも根底にはここで書かれていない言葉があるのだなということが感じられましたが、ひとつひとつの作品の土台になっている言葉や想いはなんだろうと思いながら、気に入った作品を買ってきました。

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飾ってあった作品も意味深です。

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注目していた二人目も3階にいました。
中村ひなたさんです。

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独特の表情や色がいいなと思います。

作品集と絵はがきとシールを購入してきました。

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三人目は1階にいました。
3階で階段のほうへ歩いて何気なく壁のポスターを眺めた時に、呼び込みの方の声に思わず、引き込まれました。
「迷路で迷って行きませんか」

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「迷路で迷って行きませんか」
不思議なひびきの言葉です。
迷う気分にはならなかったので、1階へ。
三人目は漆原さくらさんです。

漆原は「うるしはら」と読みます。
ごった返していました。

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食べ物絵師と名のられていて、食をテーマにイラストとエッセイを組み合わせて表現されています。素朴であったかいキモチのこもったイラストがいいなぁと思っています。食に対する心意気を感じます。そんなキモチがつまった作品を購入してきました。

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漆原さんは日本画学科の4年生なので、今年が最後になります。
残念ですが、卒業しても食の世界での活動は続けていくようです。
3人とも今後の活躍が楽しみです。
ほかにも様々な気づきがたくさんあったのですが、また次回へ。

ゆれる+ドリカム+レベル400+ステキな姉妹

曜日、10月20日。
さいたまスーパーアリーナに我が奥様と娘と行ってきました。
DREAMS COME TRUEのライブです。
ライブのタイトルは、DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2017/2018 THE DREAM QUEST
通称:ドリクエです。
この日は初日でした。
かなりの雨の中、ライブ中の発表によると、来場者数は21182人だとか。

行ってみると、会場内にこんなものがありました。

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インプレッサのオリジナルラッピングカーだそうです。

キレイでしたが、インプレッサという車をまじまじと見たのははじめてでしたが、なかなかステキなデザイン、形をしていました。人気がある車とは聞いていましたが、確かに納得しました。風格がありますね。
こちらはライブのトラック。

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でもこれが何十台もないと運べないような巨大な設備でした。
こんなトラックがたくさんあるのでしょうか。
並んで走ったら、キモチがいいでしょうね。

さて、チケットを入場口でピッとすると、座席が印字された紙を渡されました。
今回は入場するまで、席はわからないシステムなのでした。
席をじ~と見ると、400レベルの文字。
さいたまスーパーアリーナは、なぜか階数ではなくレベルで表現するのです。
アリーナモードで配置された場合、席は、アリーナ→200レベル→300レベル→400レベル→500レベルの5種類があります。
200レベルがいわゆる1階のスタンド席。
300レベルはスイートレベルと呼ばれていて、500レベルもそうですが、バルコニー席のようになっていて非常に数が少ないのです。
400レベルは3階席ですが、普通のドームだと高さとしては2階スタンド席に相当します。
はずれ席のように思われるかもしれませんが、アリーナの中央に縦長の舞台が設置してあり、座ってみると全体がよく見渡せて、これはこれでなかなかいい席でした。
2列目だったのですが、1列目は危険なので公演中は立ち上がらないようにという注意書きがあります。前の席の方は立ち上がらないので、座ったままでよく見えるのです。
全体的に見渡せて、前から2列目で座っていても大丈夫というのは結果的にとてもよかったのです。我が奥様は体調がよくないので、最初からずっと座っていましたが、座っていても楽しめた様子です。

まずはスタートに向けて準備です。

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なかなかかわいらしいですね。
隣の女子集団は皆、クマを持っていました。
クマが人気なのでしょうか。
開演予定時間の17時ほぼぴったりでスタートしました。
恒例?の感激のあまり泣きながら登場した吉田美和さん。
ライブが始まり、当然のように立ち上がったのですが、ここでびっくり。
皆が飛び跳ねると、ものすごく揺れるのです。
正直、床がぐらぐら揺れ、そのまま落ちるのではないかという恐怖を感じました。
そう言えば、4、5年前にあるライブで天井の緩衝材が落下する事故があったのはここだったと想い出しました。娘がライブの途中で「すごく揺れる」と話しかけてきましたが、何事もないように振る舞いました。
慣れてくると何とも感じなくなりましたが、それだけライブがすばらしかったからですね。
2時間があっという間でした。
一旦終了。
会場はなごやかな雰囲気でアンコールを待ちます。

アンコールが始まった途端に、ドリカムの世界ではなく、コメディタッチの世界がスタート。
通称ファンピーの登場でした。
FUN・P1号の浦嶋りんこさんとFUN・P2号の吉田美和さんの女性デュオです。
二人でやりたい放題やって嵐のように去っていきました。
再び、ふつうの吉田美和さんが登場。
ここでステキなお客様の紹介ということで、来場していた浅田真央さんに照明があたりました。お姉さんの浅田舞さんも来ていました。
本当に心からの笑顔で手を振っていました。
私たちが座っていた席のちょうど真正面にあるバルコニーのような招待者席に座っていました。
ちょうど3年前、東京代々木第一体育館でおこなわれたドリカムのライブに行った時も浅田真央さんが来ていましたので、偶然にも2回目。
その時「AGAINという曲は浅田真央さんを思い浮かべてつくった」と吉田美和さんが紹介していました。どこかのインタビュー記事で、この「AGAIN」を毎日聴き、世界選手権までは頑張ろうと自分を奮い立たせていたとありましたが、ドリカムは「AGAIN」という曲で浅田真央さんを応援し続け、浅田真央さんは逆に「AGAIN」という曲で前に向かう元気を頂いていたのですね。
真正面に座っていたので、よくわかりましたが、浅田姉妹は二人ともペンライト振り続けて、楽しそうでした。

今回も奇抜だけれど、ステキであざやかな衣装ばかりでした。
今春に発展的閉校にしましたが、秘密基地と呼んでいた施設に学びに来ていた小学生の男の子が使っていたカバンが手作りだったのですが、それがとてつもなくステキなものでした。愛情のこもったすばらしい作品でした。洋服も破れたところの直し方が高度な技術力を感じたものです。
実は、お母さんがドリカムの衣装をつくるチームの一員でした。
いいライブにするため、ドリカムの希望に応えるため、時には徹夜をし、時には完成したものをゼロから過酷な締切までに仕上げるという姿を、側で見ている、感じているというのが本人と話をしていてもわかりました。いい意味で型破りな行動をする生徒でしたが、お母さんのいい影響を受けていたのでしょう。
子供は親が言った通りとか、教えた通りには育たないものです。
子供はまねをするものです。
子供が成長する時には、一番身近な一緒に生活している親の仕草や行動、考え方などを自然と吸収し、まねをするようになるというのが心理学でいうところのモデリングです。
今、小6で、型破りな考え方や行動力にとてつもない将来性を感じましたが、大人になるにつれて、こういった素質や能力が失われていきます。大人になるということは、そういうことだという妙な意識が学校教育には残っている地区があります。口答えせず、素直で黙々と勉強する生徒が楽だからなのでしょう。
ドリカムの衣装を担当されているお母さんとの面談では何度も今の可能性をもっと強くしていくための進路の考え方、方向性を伝え、無事に走り出したことを見届けたところで閉校になりましたが、きっと前進していることと思います。

17時にライブがスタートし、終了は19時45分ぐらいでした。
時々、音楽をライブで楽しむのはいいものです。
時間と空間を共有し、一体化する場は元気がでます。

間合いの作法

曜日の午後、自由時間を作る事ができたので田町へ出かけました。
20代の時の仕事場は田町にあったので、懐かしい街です。
つい当時を想い出しながら、あちこちうろうろしてしまいました。
東京タワーの見える道。

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毎朝、東京タワーを見上げながら仕事場に向かうというのは、いいものです。
自然と意識が前向きに変わります。

目的地に着きました。

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慶應義塾大学です。
40人弱の部屋に入ると慶應の大学生、あちこちの大学の先生方、企業の人が数人。
日本認知科学会で「間合い」に着目している分科会の集まりです。

今春に発展的閉校にしましたが、自分では秘密基地と呼んでいた施設で小中高校生と保護者の方々と3年間、相対していた時の自分の隠れテーマのひとつが「間合い」でした。
生徒一人ひとり、保護者一人ひとりとの間合いの取り方はいつも試行錯誤でした。
最初は勘でした。
AIも活用してみたりしました。
人と人が接する時、そこには「間合い」が存在します。
人にはそれぞれ好みの「間合い」があります。
私は遠めの「間合い」が好みです。好みというより、楽だからだと思いますので、どんなに親しくなっても微妙な「間合い」を保とうとします。
でも自分の「間合い」で生徒や保護者と接していると、うまくいきません。
3年間の最初の1年はこれで苦しみました。
2年目は慣れと開き直りがあったのでしょうが、相手に合わせた「間合い」がとれるようになったと自負しています。
3年目は最適な「間合い」が作れたという実感がありました。
2年目の試行錯誤の最中に日本認知科学会のある方から教えて頂き、「間合い」を真剣に考えるきっかけを得て、それ以来、「間合い」は私の大事な研究テーマのひとつになっています。別に仕事としてやっているわけではないので、余計にのめり込めているのだと思います。

1年目の時、目の前にいる生徒にとってはうっとおしい「間合い」をしていたと思います。困りもしないのに密着したり、気を散らせたり、「間合い」の大事な要素の「タイミング」も無茶苦茶でした。
3年目は生徒の「親子の間合い」もゆとりを持ってみることができるようになったので、適切な支援ができたと思います。
学びの場面では自分と生徒の「間合い」は集団指導よりはかなり近いが、個別指導よりは少し遠いというのが適していた生徒が多かったのですが、生徒一人ひとりの本能や育った環境にも影響されて適切な「間合い」は異なってくるので、指導観察は全員と超近いが、行動は一人ひとり最適の「間合い」が存在します。
学びの場は規模や集団か少人数か個別かによって観客でいることを許される学びの場から、参加者でいることを求められる学びの場までいろいろあります。
生徒を伸ばす「間合い」というものがあるので、本気でその生徒のことを考えたら、目の前にいる生徒を転塾させるということも考えないといけない場合があります。受験生だとなおさらです。今春、我が秘密基地を閉校するにあたっては、生徒を伸ばす「間合い」も考え、キミは3月からここがいい、あなたはここがいいといったことを伝えたのですが、本当は様々なタイプの学びの場を提供できる企業の力があればなぁと思ったものです。

1対1の個別指導は月謝が高くなりますが、問題演習でも解き終わるまで、すぐ隣でじ〜と待たれているのが1対1です。この「間合い」の感覚が合わない生徒は実はとても多くて、保護者の方は高いお金を払っていますが、費用対効果が悪くなっているということはとても多くあります。今の子供は1対1の「間合い」よりも1対4から1対8ぐらいで発生する「間合い」が最適という場合が多いと思います。

子供の学びの場が複雑なのは「間合い」は距離や空間などの単に物理的なものだけでなく、ココロの「間合い」が大きな影響となります。
一方で、保護者に対してはこの人と話したい、この人に相談したい思って頂けるような求心力のある「間合い」が必要です。
「間合い」は奥が深いのです。

さて、日本認知科学会の「間合い」の集まりですが、いろいろな発表がありましたが、少しだけご紹介。

静岡大学の名塩征史先生
「何が始まるか」を伝える一振り:年少者向け空手教室における個別指導の間合い

子供向けの空手教室において師範が一人の練習生に対し即興で個別指導を行おうと、その練習生と向かい合った。何かの始まりを予感させる身体の配置や動き生まれている。「間合い」が生まれ、この間合いから繰り出される師範の次なる腕の一振りに注目した発表でした。
話を聞いていて、空手では相手にとっては遠いが自分には近いという間合いを生み出す力が勝利につながるというのが実感できました。対戦者同士技量、体格、気力、構え、癖など、様々な要素でひとつの間ができ、相手の動きによって、自分も動き、この緊張感の中で勝つための間合いを創る。
大前提として、自分の間合いを知ることが必要です。

何が始まるかを伝える一振りが指導者の指導力をあらわしているというのが話を聞いていてわかりました。学習の世界では発問力がこれに相当するのだと思います。
身構え、心構えを実感させながらの指導が大事で、そうするためには空気がピンとしていることが必要です。
反復練習は人工的な型の練習にすぎず、実践的な練習ではないので、血の通った練習にするにはどうするかが指導者の力量なのだと思います。

 

近畿大学の鈴木毅先生の「人の「居方」にみる「間合い」」も興味深い話でした。

鈴木先生大阪大学にいた頃からひたすら常にカメラやビデオを持ち歩き、人がいる風景やシーンを撮り続けています。
人がある場所に居る風景や状況を「居方」と捉えて、たとえば「思い思い」「居合わせる」「たたずむ」「あなたと私」「行き交う」と名付けた居方の中に存在する「間合い」について話をして下さいました。
様々な建物、街の一角の写真が登場しましたが、中でも、埼玉県の宮原町立笠原小学校の写真にはびっくりしました。


宮原町立笠原小学校

https://www.fureai-cloud.jp/kasasho

 

竜宮城のような校舎として有名です。
私も見学したことがある小学校でしたが、児童が帰った後の時間しか見学させてもらえませんでした。鈴木先生の写真は児童がいる時間帯の写真でした。私にはステキな建物、施設、環境という印象だけだったのですが、児童がどういう形でここを利用しているのか、存在しているのかというのは私の創造をはるかに超えていました
鈴木先生はひたすら人がいる場を撮り続けています。
笠原小学校の写真をみて、人が浮かび上がってくる場があるのだと実感しました。
人が動くと建物に手応えが出てくると表現されていましたが、建築は形としてのデザインから手応えのデザインになることが大切なのだというのが実感できました。
関係性のデザインとか間合いのデザインが必要で、人の存在をどこまで考えて創るかが勝負なのだと思いました。

写真の中に新宿三井ビルの55広場も登場していました。
7月に勤務先の場所が変わるまでいたビルでした。
人が少なくてもさびしくない場所として創られているそうです。
なるほどというのが、実感できました。
ちなみに、55広場の55というのはGO!GO!ではなく、三井ビルが55階建てだからです。

これ以上発表内容の詳しいことを書いていくと差し障りがあると思いますので、このくらいでおしまいにしますが、場のあり方を考える時に、具体的な人のたたずまいや動きをどこまで具体的に考えられるかということがこんなにも大切なのかというのを知った研究会でした。

染織工芸に命が宿る瞬間

織工芸という日本の伝統工芸があります。
染織は「せんしょく」と読みます。
「染め」と「織り」の分野の技術を使った製品です。
我が奥様は今、染織工芸なるものを習いにに行っています。

白石眞弓先生に習っているそうなのですが、先日、大きな作品を家で見せてもらいました。嬉しそうでした。この大きな作品も含め、白石眞弓先生の生徒さんの作品を集めて展示会をするというので、一緒に観に行ってきました。

場所は武蔵野市市民文化会館の展示室。
染織工芸染色アート展」です。

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武蔵野市民芸術文化協会と武蔵野市教育委員会の共催で実施されていました。

広くてゆったりとした時間の流れる空間です。

これが我が奥様の作品です。タイトルは「実りに感謝」。

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家でみせられた時は近い距離から眺めたのですが、広い空間でみるとまるで違った印象になりました。
絵とか写真などは明るくて広い場所に飾るとキモチがいいですね。
天井も高く、ゆったりと配置され、照明も明るい。
この会場ではなかったのですが、さらに心地よい音楽が流れるとさらに違ってくるのではと思いました。

伝統芸能の世界での著名な方や、OSK日本歌劇団のトップスターの方の作品もありました。生徒さんだそうです。皆さん、自分自身の衣装や練習着を自ら創り、染めるということに挑戦されているそうです。
自分の演技の技を磨いていくと自然に衣装の領域も自分でやりたいというキモチになるのはとてもよく理解できました。

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先生方の作品はどれもひときわ大きなものばかりでした。
白石眞弓先生の作品は4枚に分かれて描かれた作品でした。
先生から直接解説をして頂いたのですが、4枚の並べる順番は描いていた時と、会場に持ちこんで飾る時では変えたそうです。左から2番目の絵は描いている時は一番右にあったそうなのですが、ここに来て、並べた際に順番を入れ替えたほうがいいと考えたそうです。
一枚で大きな絵を描くだけでなく、こうした何枚にも分けて大きな作品を作る時は、こういう演出ができるのがいいところだと教わりました。
3ヶ月かけて作ったそうですが、受付で先生方の作品は撮影できないと説明を受けていたので、ここで紹介できないのが残念です。
雪景色の空間の中で鳥が羽ばたくというのを描いた作品です。
鳥の眼がいいですね。生きているという印象を受けました。・・・と感想を伝えたのですが、生き物を描いていると「命が宿る瞬間が来ることがある」と教えて頂きました。
「命が宿る瞬間」、自分自身に絵心はほとんどありませんが、キモチや感覚はわかるなぁと思いました。モノ作りは何でも、そういうことはあると思います。自分のキモチが形になり、自分のキモチとは違う空気を創り出すことはあります。こういう瞬間をたくさん経験できた人は幸せだと思います。
先生からは布へ色を染める材料として使う染料と顔料の違いも教えて頂きました。
布に染まるということでは一緒ですが、仕組みはまるで違います。
染料は繊維の中に色がしみ込む形で色がつきます。
顔料は水にとけない材料です。のばされて、繊維の表面に接着するという形です。布の繊維の上に乗せられているのです。
顔料のほうが耐久性も高く、光にも強いので、展示作品としては顔料のほうがよいそうです。

ちょっと時間が出来たので、興味本位でのぞきに行ったのですが、心地よい時間を過ごすことができました。

ぶらぶらと1時間、キモチよい時間でした。

合格!

日前、担当していた小中高校生向けのEdTech研究施設に高校3年の卒業まで在席いただいた女子生徒のお母様から1年半ぶりに連絡を頂きました。
短大に進学していたのですが、大学の編入試験に合格したという連絡でした。
うれしい連絡でした。

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様々な選択肢の中から熟慮の上、短大へ進学した生徒さんでした。
短大合格後も高校卒業まできちんと来て勉強を続けていたのが想い出されます。
合格から高校卒業までの間に、短大で学びつつ、編入試験を受けて四年制大学に進むという道を選択しようとなりました。
中学受験、高校受験、大学受験であれば的確なアドバイスができますが、編入試験については正直、経験も知識もゼロでしたので、私も最初は五里霧中でした。
世の中には大学編入試験専門の予備校があったり、その道のプロなる人もいるというのがわかり、直接行ったり、会ったりして吸収し、短大と大学の情報も足で集めて、集約し、分析し、改良し、卒業までの短い期間で伝授しましたが、一番大切なのは受験テクニックでも、情報でもなかったというのがその時に私が学んだことでした。
一番大切なのは、キモチです。
進学した短大は短大の中でも有名な女子短大でした。
入学したら、楽しい、楽しい日々で普通は編入への挑戦はしなくなってしまうものです。
卒業までにお母様とも話をし、短大にまず入り、もう一度進路について真剣に考えつつ、その後、編入も考えるという道を進むということでご家族のキモチも確認できたので、最大限考えられる支援をして送り出しました。

進学の目的で迷う部分があるのなら、女子が圧倒的に多いので、女子の場合に限るということになりますが、短大はひとつの選択肢です。
短大は進学先にもよってはびっくりするくらい少人数でていねいに専門的な教育を受けられます。学ぶキモチがある女子で、とことん打ち込みたい分野がまだあいまいであれば、一旦短大に入学し、自分の道を見つけて四年制大学へ編入すればよいという道は心意気がきちんとしていれば、あの決断があるから今の私があるという時が必ず来ます。

私がかかわった女子高校生は様々な状況から、自分の意志で決め、私はその選択をさらに開花させる道をアドバイスしただけですが、本当にホッとしたところです。

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短大について少し見てみましょう。
平成28年度に短大は公立で17校、私立で326校あります。
ピーク時には短大は600校がありましたので、約4割以上も減っています。
来年から18歳人口の減少が始まりますので、短大に限らず、学校経営は曲がり角です
学生数も53万人がピークで減少を続け、平成28年のデータでは12.8万人。
ピークの3割もありません。
一方で、大学は45%、短大は70%近くが定員割れを起こしています。
何となく進学してしまうということも恐ろしいほど増えています。
こんな中、今年は短期大学にとって恐ろしいことが起きています。人気短大のひとつの青山学院女子短期大学が2019年度から学生募集を中止すると発表したのです。
定員割れにも縁がなかった短大ですが、残念なことです。

私が若かりし頃は、青短、白短、赤短、明短という言葉がありました。
青短は青山学院女子短期大学です。
白短は目白にあるからという理由で学習院女子短期大学
赤短は赤坂にあるから山脇学園短期大学
明短は明治大学短期大学
青短の募集終了で青短、白短、赤短、明短の全てがなくなることとなりました。
東京ではこの他に、立教女学院短期大学も今年の春の入試で募集が最後になりました。

短大は、2年または3年で専門教育を受けることができる場です。
まだまだ伸び、存在意義のある教育機関になりうるのですが、青学の募集停止は大きな流れにつながるかもしれません。

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高校生の進路指導、進学指導は難しい職人技の領域になりつつあるなと思います。
めまぐるしく変わる高校卒業後の高等教育の状況。
高卒で就職。
5年後、10年後、その先も考えて接しなければいけません。
やっかいな時代だと思います。
但し、職人にとってはまたとない時代かもしれません。

はいからさんが通る

学の卒業式で定番のはかまが、最近は小学校の卒業式でも増えてきています。
昨年の暮れにある小学校の校長先生から卒業式のはかまについて相談を受けました。
確かにとてもかわいらしいのですが、最後の卒業式に向けて競い合うことを助長してしまうことになり、学校としてのキモチとは違う場になってしまうと悩まれていました。
その小学校のことをよく知っていたので、卒業式としての服装のルールや指針を示すべきとお伝えしました。
卒業式でどのような服装で出席するのかは基本的には個人の自由です。
しかし、不必要な豪華さの競い合いが発生する傾向があるのなら、それが出来ないご家庭への配慮として、学校が一定のルールや指針を示すことは、教育機関としての大事な役割です。
当日、それを受け入れないご家庭が多かったとしたら、学校側はそれを事実として受けとめ翌日からどういう学校にしていくかを考えればよいと思います。
但し、このアドバイスは相手の学校によってまるで異なります。特に、教育委員会やその学校の教育観、教育作法があいまいな場合や運営がうまくいっていない場合は正解はないということになりますので、相談を受けても答えが見つからないという状況になってしまうなと思います。
教育の場は日々の取り組みの積み重ねです。

さて、大学の卒業式のはかま。

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こちらはもう大人なので、本人が決めればよいことですし、大昔から根付いています。
はかまがあたり前になったきっかけは「はいからさんが通る」ではないだろうかと思います。
はいからさんが通る」は大和和紀さんの漫画です。
乙女のお話です。元気いっぱいの乙女です。
やっと前々回のブログでお約束した乙女のお話になりました。
大正時代の女学生の恋愛模様を描いたはいからさんが通る」は作品が完結して今年が40周年だそうです。
「はいからさん」こと花村紅緒は17歳の女学生。竹刀を握ると向かうところ敵なしです。
祖父の代から決められた許婚、伊集院忍少尉との結婚にとまどい、反発していましたが、やがて少尉に魅かれていきます。大正デモクラシーシベリア出兵、関東大震災という時代に翻弄され、引き裂かれながらも、最後は結ばれる一組の男女とそれをとりまく人々の恋愛模様を描いています。
読んで元気になる漫画です。
前々回のブログで紹介した弥生美術館で原画展がスタートしています。
「命短し恋せよ乙女~マツオヒロミ×大正恋愛事件簿~」展に行った際にチラシを頂いてきました。これです。

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はいからさんが通る」 展 ~大正?乙女らいふ×大和和紀ワールド!~ 

は東京の東大農学部の前にある弥生美術館でクリスマスイブの12月24日まで開催中です。
女学生の袴姿は、和装から洋装へと移り変わる過渡期に出現しました。
はいからさんが通る」 展では原画だけでなく、大正から昭和初期の女学生や職業婦人などの女性文化の当時の資料が展示されています。
前回のブログで紹介したあさきゆめみし」の原画も展示されているそうです。原画だけで約200点。
ちなみに、チラシの下のほうに記載がありますが、「ハイカラさん割引」なるものがあります。はかま姿で来場すると入場料が割引となり、「大正乙女しおり」がプレゼントされるそうです。大正ロマンを感じさせてくれる企画です。

この展示会に合わせて、書籍が発売になっています。
これです。

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大和和紀さんの全仕事を網羅した書籍です。
幻の漫画の「はいからさん」と「N.Y.小町」が出会う「初夢!?はいから小町」が特別収録されています。1988年1月の週刊少女フレンドに掲載された後、読むことができなかった作品です。
今年は10月に宝塚歌劇団花組による「ミュージカル浪漫『はいからさんが通る』」が上演され、アニメ映画「劇場版 はいからさんが通る」前編が11月に、後編が2018年に公開されるそうです。元気が出る「はいからさん」に注目です。

源氏物語

氏物語は高校の古文では避けては通れないものです。
毎年、必ずどこかの大学入試で出てきます
特に、難関大は「源氏物語」をよく出題します。
なぜかと言うと、
主語がわかりにくく、状況把握も難しいので、読むのには高い知識が必要。
敬語など問題にしやすい要素が多く、問題を作りやすい。
その時代を知らなければ理解できない物語で、やっぱり問題を作りやすい。
つまり適度に難しく、かつ、大作なので問題作りの場所はいくらでもあるということです。

でも、やっぱり源氏物語はむずかしい。
受験勉強ですぐに挫折してしまいます。
そこでいつも受験生にオススメしているのがこれです。

あさきゆめみし 漫画文庫 全7巻 完結セット (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし 漫画文庫 全7巻 完結セット (講談社漫画文庫)

 

 傑作漫画「あさきゆめみし」漫画文庫全7巻です。
「まんが」とか「マンガ」ではなく「漫画」がふさわしい大和和紀さんの傑作です。

受験生はこの「あさきゆめみし」を読み、ある程度の流れをつかみ、心情や登場人物の性格を頭に入れておくと、入試で源氏物語に遭遇した時に圧倒的に有利に立つことが出来ます。
源氏物語に遭遇できなかったとしても、難しい源氏物語がでてきたらどうしようという不安にドキドキすることはなくなるので、やっぱり有利です。
受験はキモチの状態で既に勝つ入口に立っていることができるものです。

源氏物語平安時代中期の長編小説です。
作者の紫式部はこの小説しか書いていません。
主人公は光源氏
恋愛小説ですが、政治の権力闘争や平安時代の貴族社会も学ぶことができる恋愛小説です。
源氏物語には様々な女性が登場します。
夕顔、若紫、末摘花、藤壺・・・。
女性との複雑怪奇な恋愛模様が描かれています。
受験勉強と言いながら、どうどうと恋愛小説を読めてしまうと考えれば、古文の世界は実は楽しくて奥深いものなのです。

天皇とたくさんのお妾さんの中のひとり桐壺の間に生まれたのが光源氏
幼い時から優秀な子供で、「光」というニックネームがつけられます。
でも、桐壺の身分は低かったので、天皇の子供なのに天皇になる未来は元々なかった光源氏
光源氏が三歳の時に、桐壺は死んでしまいます。
どんどんグレてしまいます。
しかし、光源氏には恋愛力があった。
話しかけ、ニコッと微笑むと、みんなあたたかいキモチになる。
光源氏が十歳の時、天皇の奥様としてやってきた藤壺に恋をする。
義理の母に恋をしたのです。
義理の母との間できた子供が冷泉。
天皇は自分の子供と思っていたので、冷泉は天皇になる。
やがて本当のことが冷泉に知られることとなり、光源氏は「上皇」となり、気づいたら権力を持つひとりとなります。
ところが、気づいたら自分がつき合った女性は不幸になっていた。
後悔と葛藤。

ちょっと話がそれました。
源氏物語は登場人物も多くストーリーも複雑なので、事前に登場人物や物語を知っておいた方が圧倒的に有利です。
だから「あさきゆめみし」です。
登場人物とストーリーをつかみ、源氏物語に十分親しんだなと思ったら、問題集で源氏物語の原文にふれるのが王道なのです。
問題集に取り組むと、「おや、これはあのシーンか。すると、登場人物はあの人とあの人だな」と推測でき、問題文を読むのが楽になるのです。
これだけでも勝負は圧倒的に有利ですね。

ついでにポイントをご紹介すると、問題文と向き合う時には、まず敬語と主語を追うのが大切です。
敬語は誰から誰に敬意が払われているかに注目します。
敬語の種類、単語などによってこれがわかります。
敬語として使われる単語は最低限暗記しておきましょう。
源氏物語の問題を読む時には、尊敬語、謙譲語、丁寧語を区別してとらえ、敬意の対象は誰なのかを探りながら読むのです。
また、源氏物語は主語が省略されることが多いのも特徴です。
だから問題を作りやすい。
だから受験勉強も文を読む時に主語は?を考えながら読む練習がポイントです。
助詞に着目すると主語が見えてくるのですが、あさきゆめみし」に没頭するのと並行して、自分で読みやすい古文の文法の参考書を読み込んでおくとよいでしょう。
古文は、敬語と主語と単語が大事です。
そして「あさきゆめみし」で難関大学によく出る源氏物語にも親しんでおく。

息子は今年大学を卒業し、研修医の一年目をスタートしましたが、受験に必要な古文がニガテだったので、「あさきゆめみし」を全巻セットで用意し、渡したものです。
結果的にふり返ると、「あさきゆめみし」を真剣に読んでいたのは私でした。
息子に買ったつもりが、自分ではまったのでした。
息子は少女漫画の画風が合わなかったのかなと思います。

さて、「あさきゆめみし」に限りませんが、漫画は勉強の立派な副読本になります。
進路指導にも使える漫画はたくさんあります。
モチベーション増強にもなります。
息子は「あさきゆめみし」ははまらなかったようでしたが、のめり込んでいた漫画がありました。
ひとつは、三国志

三国志全30巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

三国志全30巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

 

横山光輝さんの名作です。
全巻持っていました。

もうひとつ大事にしていたのは、これ 。

Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)

Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)

 

SLAM DUNKスラムダンク)」
高校バスケットボール選手の桜木花道が主人公の井上雄彦さんの傑作です。
スラムダンクに登場する安西先生の言葉からは最後まで、あきらめない大切さを学ぶことができますし、受験生にはとてもよいカンフル剤になる漫画だと思います。
スラムダンクも全巻持っていましたが、テレビアニメのDVDもすばらしい作品です。

受験に漫画はよく合うのです。
但し、漫画との付き合い方の作法を間違えると合格から遠のくことになりますので、ご注意ください。やるべきことを正しくやる習慣を身につけている受験生のみに効果があります。

さて、前回のブログの最後に次回は乙女の話だと書きました。
まったく違うではないかと言われそうですが、書き始めはそのつもりだったのですが、途中から方向転換してしまいましたし、少々というか、だいぶ長い文章になってしまいました。
ということで、次回こそ、乙女の話にします。

命がけの大正時代「命みじかし恋せよ乙女」

宅のリビングのテーブルのところに何気なく一冊の本を置いていました。
これです。

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タイトルは「命みじかし恋せよ乙女」
弥生美術館というところで開催されていた展示会に合わせて作られた書籍です。

展示会のタイトルは「命短し恋せよ乙女~マツオヒロミ×大正恋愛事件簿~」展
実は9月24日で終了してしまったのですが、やっと会期中の最後の土日に時間の余裕ができたので、書籍を見せながら「一緒に行く?」と我が奥様に聞いてみました。
表紙のマツオヒロミさんのイラストが目に引いたのでしょう、書籍を手に取りぱらぱらと読み始めました。
じっと読んでいます。
・・・
やがて、微妙な表情・・・。
微妙な、空気・・・。
「私はいいから、ひとりで行ってきて」
とにこやかに言われてしまいました。

マツオヒロミさんのイラスト作品を見てきたと言ったら、後でずるいと言われるかもと思ったので、誘ってみたのですが、どちらかと言うと主のテーマは大正時代に頻発した恋愛事件です。
書籍の中でも座敷牢で死んだり、自殺したり、心中したり、銃殺されたり・・・確かに夫婦でいくものではないかも知れませぬ。
展示では様々な事件・・・事件というべきかどうかはわかりませぬが・・・事件にまつわる当時の写真や手紙、新聞記事など約200点が紹介されています。

ということで、ひとりで「命短し恋せよ乙女~マツオヒロミ×大正恋愛事件簿~」展へ行ってきました。

千代田線の根津駅から徒歩で10分ぐらいのところにあります。
とことこと、坂を歩いて目的地に向かいます。
この坂は、弥生坂と言います。
看板もありました。

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30年ぐらい前に東大地震研究所の先生と一緒にCDに映像を入れた教材作りをしたことがあるのですが、その時に歩いた懐かしい坂でした。
坂を登り切り、当時と同じ住宅街の道を歩いて行くと東大農学部の前に出ます。

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大学という雰囲気のある素敵な建物です。
東大農学部の斜め向かいにあるのが弥生美術館です。

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こちらも素敵な建物です。

奥が入口ですが、しばし悩んだ結果、左にあった別の入口に入りました。
夢二カフェ「港や」です。

喉が渇いていたので、珈琲を飲みたくなったのと、看板のケーキに吸い付けられてしまいました。写真のケーキが伝統的なガトーショコラに見えたのです。昨年、お付き合いでチョコレート検定なるものを受け、ショコラアドバイザーの認定を受けてから、ますますチョコレートにまつわる知識を吸収する機会が増えた影響でしょう。
店内に入ると2階を案内されました。

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まだ午前中で、普通、美術館を観てから寄るものですので、店内は私ひとり。
素敵な雰囲気と空気が漂っていました。

ケーキセットでガトーショコラと珈琲を注文しました。

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正統派の作り方をしたガトーショコラでした。
満足、満足です。

伝票にはかわいらしい動物の紙挟みがついていました。

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さりげない様々な配慮が感じられました。

さて、いざ美術館へ。
チケットのお金を入口で渡していたら、先ほどの喫茶店の店長さんが走ってきました。
どうしたのだろうと思っていたら、「ケーキセットを頼んだ方ですので、入場券は割引きでお願いします」と受付の方に告げて下さいました。
心遣いが素敵です。

入場券の半券を見せると喫茶店が割引きになるのですが、逆に入場券で割り引いて下さいました。
あたたかいキモチで中に入っていきました。
いただいた入場券も情緒あふれるものでした。

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会場へ入っていくと音楽が流れています。
「ゴンドラの唄」でした。
芸術座の「その前夜」の劇中歌として作られ、松井須磨子が歌い、大正時代に大流行した曲です。芸術座は島村抱月松井須磨子が結成してできたのですが、世界に猛威をふるったスペイン風邪島村抱月が急死すると、翌年、松井須磨子後追い自殺をしています。

下調べしていたということもあるのでしょうが、小さな美術館でしたが、1時間半ぐらい滞在することとなりました。何事も予習が大事ですね。得るものが違います。

平塚らいてうが夫に宛てて送った手紙は初公開と書かれていました。
女性解放運動、反戦平和運動の闘士というイメージを持っていたのですが、初公開の手紙からはおだやかな女らしさしか感じませんでした
宛名には「私のただひとりのたいせつな博さま」と書かれていました。
大正時代の男女の事件を観に行ったつもりが、ちょっと違うキモチになりました。
今と違い制約が多く、時代の空気も違う中での生き方に圧倒されました。
家長たる男子は絶対なのだという家制度では、自由な恋愛は御法度だったというのが、写真や資料、遺品から伝わってきます。

教科書でしか歴史を学んだことがないと言っていた大学生に出会ったことがありましたが、教科書は教科書を作った時代の空気が反映されているので実はちょっとゆがんでいると思います。自ら学ぶ、学び続けることは繰り返し子供に伝えるべきなどと思いました。歴史は暗記ではなく、思考力が必要な教科です。だから面白いのです。
いろいろな学びのある場になりました。

マツオヒロミさんのイラストもすばらしかったです。
完成された作品だけでなく、デッサン途中の原画もありました。
帰りに記念に絵はがきを買いました。

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左の絵はがきは竹久夢二の恋人のひとり!である小説家・山田順子さんのイラストです。
山田順子さんは結婚して3児の母になりますが、夫が破産して離婚。
その後、竹久夢二や作家・徳田秋声と愛人関係になりました。
当時の山田順子さんの写真もあり、じっとイラストと見比べてしばし眺め、どういう人物だったのかという展示をじっと見つめ・・・ということをしていて、気になったイラストのひとつでした。

残念ながら9月24日で終わってしまったので、興味のある方はこちらの書籍をどうぞ。

命みじかし恋せよ乙女: 大正恋愛事件簿 (らんぷの本)

命みじかし恋せよ乙女: 大正恋愛事件簿 (らんぷの本)

 

美術書コーナーがある大型書店だと置いてあることが多いですので、ぜひ実物をみてください。
大正時代の文豪の世界の恋は命がけだったのかというのが豊富な資料とともに掲載されています。弥生美術館で展示されていたものが多数収録されていて、マツオヒロミさんの描き下ろしイラストが3点収録されています。

ぜひどうぞ。

 

ちょっと長くなりましたので、今日はこのくらいで。

次回は別の乙女の話を予定しています。

電報

しぶりのブログ更新になります。
この間に義理の妹(家内の妹)が亡くなりました。
まだ48歳でした。
病とのたたかいに、家族は皆で力を合わせがんばっていたのですが、残念なことです。
通夜と告別式も終えたところです。
書きためていたものはいろいろあったのですが、ドタバタしていて載せる気がしませんでした。

告別式の翌日、娘から弔電ってああいうのが普通なの?と聞かれました。
告別式では弔電が紹介されますが、たいてい定型文か、もしくは定型文を少しアレンジされたものが普通です。
今回は紹介された弔電がどれもオリジナルの文章ばかり、心のこもった手紙でした。
それもものすごい長文ばかりでした。
電報は文字数で料金がかかります。調べたところ、65文字までは1380円。66文字以上は5文字単位で90円でした。ものすごい文字数の弔電ばかりでしたので、いずれも何万円もかかったのだと思います。
弔電はあらかじめ用意された文例集の中から選ぶことが多いと思いますが、エピソードや故人の人柄がしのばれる内容が入った弔電は気持ちがこもっていていいものです。

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電報は情報伝達の手段として進化を遂げた後、用途によっては消えようとしています。
私の学生の頃は大学合格通知には電報が使われていました。
サクラサク」「サクラチル」の電文の電報です。
大学合格の通知の世界の電報は、あっという間にインターネットに駆逐されています。

電報は電話が普及していない時代の緊急連絡手段として発達しましたが、電話の普及とともに需要がなくなり、世界を見渡すと電報が消えている国が増えています

今でも電報が使われている最後の国のひとつが日本です。
世界では通信手段としての道を進んだ電報。
日本では通信手段ではなく、慶弔用の習慣として電報は残りました。
日本では日本人のココロを伝える手段としての道を電報は進みました。
日本の文化のひとつになったから、電報が生き延びているのだと思います。
技術の進歩に勝つにはサービスを日本の文化へ昇華させる切り口があるのですね。
もうひとつの勝つ切り口は人のココロという中に眠っているのではないかと思います。

日本の電報は大切な役目を担って、これからも大事な使命を全うして欲しいと思います。

白紙のお話シリーズ③stoneのフォントへのこだわり

々回でご紹介した日本デザインセンターからまもなく発売予定の「書く気分を高めるテキストエディタ」stone

kokoniko.hatenablog.com

下書きをstoneで書いても、最後の仕上げではフォントを変えることのできるエディタに変更し、書くキモチを高め、中身にまで心地よい影響を与えるのにフォントは不可欠だと書きました。
stoneチームのYさんからメールでメッセージがきて、デフォルトの書体でも、ていねいに使うことで実は美しい書体だということに気づいて欲しいという思いもあってふたつの書体だけにしていると教わりました。
なるほど。
なるほど。
こだわりを持って作られているのがわかりました。

広告・デザイン制作会社らしいこだわりでもあります。
ブログでは書きませんでしたが、メールでこの他に気になる点を指摘をしたところ、賛同してくださり検討項目に加えてくださるというやり取りもしていますが、こだわりを持ってモノ作りをする人、チームはキモチのよいものです。

さて、それではということで、私のフォントへのこだわりをふり返るため、私がMacで文章を書く時に使うフォントをあらためて見つめ直してみました。
下のフォント一覧を見て下さい。

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最初のふたつはstoneで採用されているフォント。
残り4つが文章の仕上げの段階、推敲の時に使っているフォントです。

イデアを練っている時は
エディタでキーワードを羅列しているか、
白紙の紙に万年筆を使って手描きで書き出している
ということが自分のスタイルなのですが、特に手描きの時はその時のキモチが文字にあらわれます。白紙にずらずらといろんなキーワードや短文が並んでいる状態を見つめていると白紙の上の文字が自分に語りかけてくるような気分になります。

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書くということは、書いた文字、文章を読んで、さらに書き直すという推敲の作業が発生するわけですが、お気に入りのフォントで表示された文字や文章を画面上で見つめているとしゃべりかけてくるような気分になります
フォントが語りかけてくるのです。
やさしい声、
力のこもった声、
楽しさにあふれた声、
真剣に見つめているとこんな声が聞こえてくる気がするのです。
パソコンではなく、手描きの文字で白紙をうめると、あちこちから違う声優さんが語りかけてくる気がする場合もあります。
妙な性格だと言われれば、それでオシマイではありますが、勢いがある文字、自信のない文字、礼儀正しい文字、誠意のある文字、、、文字には不思議な力があります。

Windows95が登場する頃、ある教育ソフトを開発していたことがあります。その時、ものすごくフォントにこだわったことがあり、その影響もあるのだと思います。

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小中学校向けのソフトでしたので、教科書体のフォントが必要だったのですが、「この文字はこうして欲しい」とか、「いやそれはおかしい」といったやり取りをフォントメーカーの方としながら作ったものです。
職人気質の方だったということもあり、しんどい期間でしたが、キモチのよい仕事でした。
ちょうど教科書体と言えば、毛筆タイプが主流だった時代が変わろうとしていた頃でした。教室では鉛筆を使うので、硬筆で書かれた筆跡を取り入れるべきだけど、時代の流れを考えた時、毛筆か硬筆かでかなり悩んだものです。
文字のデザインにこだわるMacの文化、文字は手段として割り切るWindowsの文化が錯綜している時代でもありました。
パソコンと教育というものに取り組みながら、でも手描きの大事さ、奥深さは大切にしたいという思いは今も変わりありません。エディタに教科書体フォントとか楷書体フォント、手描き風フォントを設定しているのも、創造的な作業とこれらのフォントがココロやキモチの面で馴染んでいるのだと思います。

文字で書かれた資料とか文書を「見せる」場合、「読ませる」場合には、「視認性」「可読性」「判読性」を高めることを意識しながら、もっとも効果的なフォントを選ぶ必要があります。
長文だと可読性が大事なので、細いタイプの明朝体系がよいでしょう。
太いフォントだとパッと見が黒々とした紙になってしまい、可読性が下がりますので、ゴシック体ではなく明朝体、それも細いタイプがよいのです。
仕事で多用するプレゼン資料であれば、要点やポイントを的確に伝える必要があるので、
読みやすさの可読性ではなく、遠くからでもしっかりと文字を認識できる視認性を考えてフォントを選ぶことが重要です。だから、明朝体はよろしくないとなります。特に大事なポイントの部分とか、タイトルは存在感のある太いフォントを選択する必要があります。
ポイント以外の文章は判読性に注意しながらフォントを選択します。
通常の太さと強調する太字を使い分けながらだと、Macだとヒラギノのゴシック系、Windowsだとメイリオ系かなと思います。ソフトで太字を指定しただけで、可読性が高まる典型的なフォントだと思います。太字にすると太字になっただけで可読性は高まらないフォントがありますので、フォント選びは結構大切です。

フォントは手描きとデジタルの世界をつなぐ大事な技術だと思います。

仕事場のお引っ越し

事場が7月の下旬にお引っ越しをしました。
今までは新宿区の高層ビルの14階にいたのですが、今度は渋谷区の8階建てのビルの3階です。
引っ越し後の最初の出勤の日。
地図をたよりにビルの前まで来て、しばし呆然としました。

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よく知っていたビルでした。
約30年ぐらい前に何度も来たことがあるビルでした。
よく歩いた街のそばとは思っていたのですが、まさか何度も行ったことのあるビルとは思いもしませんでした。

訪問していたのは2階にあったエプソン販売という会社でした。
今はまったく別の会社が入っています。
自分のフロアが3階だったので、エレベーターではなく階段を上っていきましたが、当時も同じ階段を上ったなあという記憶がよみがえり、なにか不思議なキモチになりました。

大昔、2階にあったのは、エプソン販売。
何をしに行ったかというと、パソコンの調達です。
当時はパソコンというとNECの98シリーズが日本のパソコン市場シェアの8割以上を占めていました。ひとつの企業が8割を占めるというのはすごいものでした。そこへエプソンが互換機で戦いを挑みましたが、NEC知的所有権を侵害しているとして裁判を起こしました。
結果的に和解し、NECエプソンの動きを黙認しました。
間近に迫っていた日本に襲来するIBM陣営との戦いには、98陣営を作って対抗できたのはよかったのだと思います。自社ブランドにこだわり知的所有権を大事にしたNECが、仕様を無償公開することで安価なパソコンで攻めてきたIBM陣営に圧倒され、こんなに早く市場の独占状態が終わってしまうとはびっくりしたものです。市場を独占してしまったがために、小さな判断ミスが続いたとふり返ってみれば言えることですが、なかなか難しいものです。

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NECに比べると処理が高速、筐体が小さい、そして安かったというエプソンのパソコン。
当時担当していた小中学校向けのソフトを動かすにはちょうどよかったのです。
びっくりするような金額で卸して頂けたので、とても助かりました。
前日に連絡して、手配したトラックに運び込む作業を早朝からしたことなど、なつかしい想い出です。

土地には縁があるものです。
自宅として住む場所、仕事場として勤務する場所、それぞれ何度もお引っ越しをしましたが、後から考えると住む場所はなぜか自然と引き寄せられるように行き着いた土地でした。
仕事場の土地は後から思うとそれまでに何らかの形で何度も行ったことがあった場所とか、何かしら実は縁があったという場所ばかりでした。
不思議なものです。
土地にはある種のエネルギーがあると思うのですが、いいエネルギーの土地だったと後で言えるようにしていきたいなと思います。

白紙のお話シリーズ②日本デザインセンターが作った白い紙 stone

あって、日本デザインセンターという企業が開発中のstoneというテキストエディタを試用させて頂いています。

stoneのキャッチフレーズは「書く気分を高めるテキストエディタ
へぇ~と思いました。このキャッチフレーズを形にしたらどうなるのだろうと期待感が膨らみました。

感想や意見をレポートしないといけないのですが、使った感想をいろいろな場で発信して欲しいとも言われたので、このブログでもご紹介します。

 

日本デザインセンターは日本の広告・デザイン制作会社です。
広告デザイン業界では名前の知られた企業のひとつです。

 

まず、日本デザインセンターから渡された「書く気分を高めるテキストエディタ」stoneの紹介文を引用してみます。

---------【引用スタート】----------------
いざ文章を書こうとパソコンを開いても、思うようにはかどらないことがあります。
コーヒーを飲んだり、音楽を聞いたりして気持ちを鎮めても、
最初の一行が思い浮かばない。上手な言い回しができない。考えがまとまらない。
なぜでしょうか。私たちはこう考えます。
頭の中の想いを定着させる肝心のパソコン画面が
煩雑で、使いづらく、集中力を欠くようなものであるからではないかと。
鎮めないといけないのは、スクリーンのほうだったのです。
stone(ストーン)は、日本語を書くことに主軸を置いた文章作成アプリケーション。
清らかな気持ちで文章を書く。そのために機能は極力そぎ落とし簡潔に、
画面はシンプルで、文字が美しくつづられる、「素」のノートに徹しました。
書かれることを静かに待つかのように、凛と佇むスクリーン。
これまでにない書き心地のstoneは、あなたからどんな言葉を引き出すでしょうか。
stoneはmacOS向けのアプリケーションです。

---------【引用オシマイ】----------------

この紹介文を読んだだけで、ワクワク、ドキドキ。


立ち上げると白い紙が画面上に出現しました。

これです。

 

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立ち上げて「書く気分を高めるテキストエディタ」と一行書いてみました。

おぉ~!と、しばしびっくりしました。
その画面がこれです。

 

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最初の文字が中央部分から入力されるのです。
これは衝撃的でした。
今までにない感覚でした。
えっ?、えっ?、えっ?と、とまどいましたが、これは面白い感覚だと思いました。

 

私は仕事柄、教育用コンテンツやシステムと長い付き合いをしているのですが、教育用途の製品で大事にしてきたポリシーのひとつが「引き算の発想」でした。余計なものをそぎ落とすことで、「心地よい不便さ」が実現できることで、教育現場では本物の教育作法につながるのです。不便なこと、困らせることのほうが、子供は結果的に考えることとなります。
便利な道具も不便さを演出することが大切です。


例えば、便利なデジカメ。
デジカメを子供に自由に持たせると膨大な写真を撮ってきます。

そうではなく、撮影してもよいのは5枚だけにしようという不便なルールを決めると、5枚しか撮れないので、一生懸命にいいシーン、劇的なシーンを撮影しようと考えます。
自由に撮影させる場合と、5枚だけだよと制限した場合、どちらがすばらしい写真を撮ってくるかは一目瞭然です。5枚だけのルールがあると、なぜこの写真を撮ったのかについて説明させても、子供らしい知恵と創意工夫を発表します。

考えなければ、学習ではありません。

 

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「引き算の発想」はクリエイティブな活動であれば、あるほど、活きてきます。
もちろん「引き算の発想」はそれを操る指導者の側の能力も試されることになります。

 

さて、今回の「書く気分を高めるテキストエディタ」stoneはこの「引き算の発想」の考え方に似てるようで、ちょっと違いますが、さすが日本の有名な広告・デザイン企業だけあって、発想がとても面白いと思いました。

テキストエディタというのは、文章を書くための道具ですが、stoneが持っている機能はとても少ないのです。
設定できる基本書式は次のわずか5項目です。
①書体の変更(明朝体とゴシック体だけ)
②文章の向き(縦書きと横書き)
③文字の大きさ
④行の空き
⑤一行の文字数

シンプルな白紙がパッと登場し、縦書きが出来たりするところは、広告の世界のコピーライターの方にはとてもよい構造だと思います。

オススメの書式が設定された定型パターンとして「レポート」「小説」「雑誌」「手紙」などが用意されています。利用者はこれを選択して文章を書きます。

 

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基本設定で用意されていたものは、自分の用途にはそぐわなかったので、好みの形にカスタマイズしたファミジィ書式を作り、書いています。

実は、このブログの前々回の「白紙のお話シリーズ①白紙が肝になる作文」からはstoneを使って書くようにしています。

kokoniko.hatenablog.com

元々は前々回の中にstoneの話も書こうとしたのですが、気持ちよくstoneで書いていたせいか、長文になったので、文章を前回と今回の2回に分けました。

前々回のブログを書いていた時はstoneの白紙を画面上に大小の2つ立ち上げて、小さな白紙には書く時のメモだったり、キーワードを書き出しました。それを見ながら、もうひとつの大きな白紙で本文を書き起こすという使い方をしました。
その時の私のMacのデスクトップはこんな感じです。

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前回の水樹奈々さんのミュージカルをテーマに書いていた時は、これ以外にスマホをそばに置いて、劇場の写真を表示して書いています。本当はディスプレイ上に文章を刺激する写真も表示したいところですが、そんなに広い画面ではないので、スマホが登場します。

 

立ち上げるとキモチのいい白紙の登場。
左上ではなく、白紙の中央の行から入力。
そして、シンプルな見た目。
これが「書く気分を高めるテキストエディタ」stoneの特徴ですが、元々、執筆の時のイデアやネタをこねくり回す段階ではアウトラインプロセッサーを使っていたので、stoneを使う時はこの作法に近づけるため、ふたつの白紙を表示した使い方になりました。

さらに、stoneは横書きと縦書きが切り換えられるので、その時のキモチに合わせて変えてみると文章にも変化が出てくると思います。
横書きのstoneはこんな感じ。

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縦書きのstoneはこんな感じです。

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キモチも切り替わって、いい感じです。

Macの縦書きエディタは出来のいい製品が限られていたので、独特の世界観の縦書きエディタが増えるのは選択肢が増えていいことだと思います。

アウトラインプロセッサーでアイデアや言葉を膨らます作業が終わり、文章の骨格も決まると、下書きはオシマイということで、いつもはここで書く道具を変えます。
前々回のブログで紹介した作文のメソッドで言うと清書の段階に相当します。
この最終段階での私の書くという行為での大事なポイントは、ひと味違った文章にすることです。

ひと味違った文章にする段階では
遊び心、個性、ユーモア、ココロの余裕
が欲しいので、エディタもそんなキモチになりやすい設定がしてあります。

それが、これです。↓

じ〜と画面上の文字を見つめてみて下さい。

 

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いつも愛用しているエディタは縦書きもできます。
上の画面を縦書き表示に変更すると、こんな感じになります。↓

 

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わかっていただけたでしょうか?

文字フォントは手描き風の少し丸文字に近いものを設定しています。

stoneではフォントが明朝体とゴシック体だけなのですが、「書く気分を高めるテキストエディタ」stoneでも、ぜひフォントがユーザー側で設定できるように追加開発してほしいなと思います。
書くキモチを高め、中身まで心地よい影響を与えるのにフォントは不可欠だと思います。

書く時はさらに、ココロを刺激する音楽とおいしい珈琲があれば、最強ですね。

書くという行動を、形から支援しようというキモチで作られた日本デザインセンターの「書く気分を高めるテキストエディタ」stone。

広告・デザイン業界がエディタを作るとこんな形の道具ができるのかというのはとても新鮮でした。製品版ができたら、引き続き使っていこうと思います。

「書く気分を高めるエディタ」を道具として使う場合に、利用者側でもうひと工夫するともっとよくなります。

それは、誰に向けて書くのかということを意識することです。

ちなみに、今回のブログは、今、お世話になっている日本デザインセンター・stoneチームのYさんに宛てて書いてみました。

 

道具はその道具が持つよさを利用者が理解し、自分なりの作法を編み出すことが大事だと思います。

道具ができた時、どう使ってもらうのか。

思いがけない使い方をどう引き出すのか。

思いもしなかった使い方をどう発見し、そのアイデアを利用者のココロにどうやって知らせるのか。

そして、おっあの人も使っているエディタかといえるための、あの人を作る。

・・こんなこともstoneには必要かなと思いました。

 

Macをお使いの方で文章を書く道具として、興味を持たれた方は、「書く気分を高めるエディタ」stoneも選択肢に入れてみてはどうかなと思います。

帝国劇場で水樹奈々さんのミュージカルを堪能

ュージカルに行ったことがありますか?
ミュージカルは音楽、歌、セリフ、ダンスが一体となった総合芸術です。
ミュージカルの魅力は、幕が開いた瞬間からその空間全体が現実とは違う世界に変わることです。劇場は大規模な空間ではないので、自ら物語に入り込み、まるでその世界にいるような気分にさせてくれることが最大の魅力です。

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8月11日の祝日(山の日)に、日比谷の帝国劇場へミュージカル「Beautiful」を観に行ってきました。アメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングさんの10代から30歳ぐらいまでを描いたミュージカルです。
ミュージカル「Beautiful」はブロードウェイミュージカルで、アメリカでは数々の賞を受賞しています。今回は日本版の初公演です。
キャロル・キングさんの役はWキャスト方式です。
公演の回によって主役を演じる方が違うのです。
Wキャストは平原綾香さんと水樹奈々さん。
平原綾香さんはシンガーソングライターであり、サクソフォーン奏者ですね。
水樹奈々さんは、声優、ミュージシャン、ナレーター、その他いろいろなことに取り組む多彩な方です。
今回は水樹奈々さんの回に行ってきました。

お昼ちょっと前に帝国劇場に着きました。
通称、帝劇です。

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中に入ると歴史を感じさせ、重厚な雰囲気がただよう劇場です。
お手洗いの表示も「ご婦人用」と「紳士用」と書かれています。
伝統を感じさせます。
水樹奈々さんはミュージカル初挑戦でしたが、「Beautiful」が終わった直後の我が奥様のひと言が全てをあらわしています。
「よかったね」
ココロのこもった「よかったね」でした。
ストーリーもよかったですが、キャストの皆さんの演技は迫力があり、ココロが豊かになるミュージカルでした。
すごい声量とフルオーケストラの迫力、帝劇ならではの迫力。
体全体で生演奏と生の歌声と一体感のある空間を感じるあっという間の3時間でした。
映画でも、コンサートやライブでも感じることのできない時間でした。
プロの仕事でした。
毎回、毎回が勝負の公演。毎回、違うのが舞台のよさです。
生きている舞台です。

今回のミュージカルは、キャロル・キングさんの10代から30歳ぐらいまでを描いています。
水樹奈々さんの回だけあって、ファンらしき人がかなりいましたが、この人たちは帝劇の常連さんだなとおぼしき方々も大勢いました。不思議な感じのお客さんの集団でした。
水樹奈々さんのライブに行ったことがありましたが、今回のミュージカルはまた別の姿をみることができました。10代の若々しさ、20代の勢いのあるキャロルキングさんを見事に演じていました。
プロの仕事でした。
終わってからのカーテンコールはライブの時の水樹奈々さんらしいふるまいに戻り、微笑ましい感じを受けました。水樹奈々さんのミュージカルらしい、スタンディングオベーションでした。カーテンコールだけは、水樹奈々ライブという感じで面白い時間と空気感でした。

ミュージカル「Beautiful」は2013年にアメリカのブロードウェイで上演されて大ヒットし、ロングランを続けています。
キャロル・キングさんは今、75歳
ミュージカルでは、10代から音楽の世界に入り、妻、母として波乱に満ちた生活をしつつ、人間として成長し、シンガーソングライターとしてカーネギーホールに立つまでの30歳ぐらいまでを描いています。
「ロコ・モーション」の曲が流れた時、あっこれはキャロル・キングさんの作品だったのかと知ったのですが、これ以外にもかなり懐かしい曲が流れました。水樹奈々さんがこんなジャンルの歌もうまいというのも新たな発見でした。歌唱力がすばらしいです。

ストーリーを少しご紹介します。
1958年のブルックリン。
16歳のキャロルキングさんは音楽出版やプロデュースを展開するドニー・カーシュナーさんに自分の曲を売り込みにマンハッタンへ行きます。母親はピアノが上手だったそうですが、母に反対されながら、10代の女の子はブルックリンを飛び出します。
父親からは「何をやってもいいけど、そこで一番になれ」と言われていたそうですが、体にその言葉が染みついていたのでしょう、誰がどんなに反対しても、苦境に遭遇しても、自然に頂点を目指して行きます。
採用されない日々が続きますが、ニューヨーク市立大学に通いながら、ジェリー・ゴフィンと出会います。意気投合したキャロルとジェリーはやがて数々の名曲を生みだしていきます。
そして、ライバルであり、強い信頼関係を築くことになる作詞家のシンシア・ワイル、作曲家バリー・マンとの出会い。この2人もつき合うようになります。
この後、シンガーソングライターとして成功するまで、本当に波瀾万丈です。

この物語(実話ですが)、サクセスストーリーが生まれる文化や空気感のあるアメリカ社会らしさを感じます。日本はと言うと、硬直化した教育、日本の今の何とも言いがたい空気観が少しさびしいキモチになります。少しでも風穴をあけたいものです。

ドニー・カーシュナー役は武田真治さん。すごい存在感がありました。
ジェリー・ゴフィン役は伊礼彼方さん。うまいです。見事でした。
シンシア・ワイル役はソニンさん。ミュージカル女優としてのすごさを感じました。
リー・マン役は中川晃教さん。いい役者さんです。
日本ミュージカル界のスター達が水樹奈々さんの周りを固めています。

 

なお、NHKのBSのBS世界のドキュメンタリー
ナチュラル・ウーマン ~キャロル・キングのすべて~
の再放送がこれからあります。
2017年8月18日(金)午後5時00分~
です。

www6.nhk.or.jp

興味のある方はぜひ。

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白紙のお話シリーズ①白紙が肝になる作文

文はやだ!
絶対、嫌!

小学校5年生の男子がやだ、やだ、やだと言い張ります。

先日、勤務先が運営している学び方を教える塾のようなのですが、ちょっとひと味違う施設でこんな小学生に出会いました。
たまたま、その小学校5年生は「作文」がその日のテーマでした。

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この日、この施設ではコーチングをする大人が不足していたので、私がその少年と向き合う役割をしたのですが、やだ、やだ、やだ攻撃を私にしてきます。
はじめて話す見知らぬ大人に対して、やだ、やだ、やだとはっきり言える少年。
まず、この行動ができる事は、すばらしい素質があると言えます。
通常は若者がコーチングをしているのですが、いきなりかなり年配の大人と向き合い、い・や・だとはっきりと言える。
すばらしいことです。
まず、この事実を褒めたところ・・・(えっ?、いつもの相手と違う雰囲気・・・)と悟ったのでしょう、まじまじと見つめてきます。
で、こちらとしては、ニッという表情をしてみたところ、少年もニッとしました。
(ふむふむ、よしよし、素直でよい子だ・・・)

この小学校5年生の男子にとっては、文章を書くことがとてつもなくつらかったのです。

ものすごくつらい。
つらいのです。
文章を書くのが好きという人には、この悩みは絶対にわからないものです。
大昔。
数十年前。
まだパソコンの世界にWindowsがない頃、小中学校や教育委員会の先生方と「作文CAI研究会」なる組織を一緒に運営していたことがあり、それ以来、作文指導をする先生方と大勢出会いましたが、この子供の「書くことのつらさ」を本当にココロから理解できる先生にはなかなか出会えませんでした
言葉として「書くことのつらさ」はわかっても、ココロからは理解できないものなのです。
書くことに限りませんが、子供の様々なつらさがココロから理解できる先生に出会えたとしたら、その子供にとってはその出会いが一生の財産になります。

同じ書けない人でも、理由は色々とあります。

今回の小学校5年生の理由は単純です。
ただ、ただ書けない。
書けないのです。
手が動きません。
脳も書けるわけがないと叫んでいます。
この感覚がわかりますでしょうか。
とにかく書けないのです。
書けないと信じ込んでいるのです。

こういう時に書きなさいと言うのは無意味です。
アドバイスをすればするほど、逆にやる気が低下します。
原因を見つけて、接する大人がゆっくりと対処することが必要です。

今回の場合は原因は2つと診断しました。

この少年の場合、作文を書けるようにする時の大事な基礎力が不足していました。
語彙力です。
言葉をたくさん知っているかは大事な要素です。
言葉を知らないから、文章を書けない。

但し、この少年の場合は、結果的に「書き始めることができる語彙力」の力が弱かっただけでした。
「書き始めることができる語彙力」の力が弱いということが原因のひとつ目です。

子供の文章は見方によってはとても幼稚です。
一生懸命やっても、笑われたら恥ずかしい。
クスッと笑われたことがあったようです。
語彙力はある程度ありましたが、書くのは恥ずかしいことだと思いこんでいます。
小学校5年生になるまでに、そうした恥ずかしい経験があって、体に染みついているのです。

解決する方法はひとつだけです。
どんな文章でも褒める。
子供に接する大人が褒めるところを見つけて、必ず褒めることが解決策の第一歩になります。

なぜ書けないのかの原因のもうひとつは、「書いたことがない」からです。
書く経験が不足しているのです。

作文でなくてもよいのですが、ある程度まとまった量の文章を書くというチャンスがものすごく不足しているのが今の子供を取り巻く環境です。
「書いたことがない」から、書けないのです。
最初はなかなか書けません。
書くためにはどうしたらよいかを話しても、最初はなかなか書けません。

この日は私のファミジィメソッドの中の書くについてのメソッドをこの少年と会話をしながらアレンジして、約1時間の作文教室になりました。
かいつまんでご説明しましょう。

1.テーマを決める
この日のテーマは課題として元々テキストの中に提示されていました。
「これまでに一番感謝したこと」でした。
なかなか難しいテーマです。
テーマは決まっていて、逃げられないので、ステップ2に移り、具体的に「感謝したこと」を洗い出していきます。

2.白紙に材料を書き出す
感謝ってどういうことだろうの問答を少年とゆっくりとして、手かがりとなる感謝の経験を発見していきます。
思いついたことを箇条書きにします。
ひとことのキーワードでもよいです。
この段階では、いつ、どこで、誰に感謝したことなのかははっきりしていません。
テーマを一段掘り下げた「感謝したこと」を具体的にしていきます。
会話をしながら、白紙にキーワードだったり、短文を書き出していきます。
作文の達人は、この会話が自問自答になります。
大人であればひとりブレストです。
今回の少年はこの作法が未知の世界なので、私と会話をしながら、でも自分で気づき、私が「すごい」「へぇ~」「いいね」と言う言葉に後押しされて、どんどんと白紙の上に文字が増えていきます。

3.材料を選ぶ
あっという間に白紙が文字でいっぱいになりました。
嬉しそうです。 ←これが大事です。
白紙をちょきちょき切って、私と会話をしながら、本人が分類していきます。
全て自分で作業をしていきます。
頭で考えるのではなく、体を使って考えているので、能動的な動きです。
嬉しそうです。 ←これが大事です。
大事なのは、これとこれとこれだということが本人の意志で決められたことです。
ここでコーチは反対してはいけません。褒めたり、驚いたりします。
本人は嬉しそうです。 ←これが大事です。

4.材料をふくらませる
書くと決めた事柄をもっと、もっと具体的に思い出す段階です。
いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように・・・。
自分のキモチも書き出していきます。
楽しかった、おもしろかった、びっくりした、うれしかった・・・
本当にふくらませていくと、その子供にしか表現できないキモチの言葉が出現します。
すごい言葉が出てきたら、最大限の称賛の言葉を伝えます。
嬉しそうです。 ←これが大事です。

5.材料を並べて、書く順番を決める
起承転結がベースですが、この日はこの小学生が野球少年だったので、
へぇ~とかワクワク、試合解説、変化球を投げる、試合結果のひと言解説
という形で起承転結を説明しています。
起承転結が合わない状況の時は、能楽序破急の作法を伝授しますが、説明しているとさらに長くなるので次に進みます。

6.下書きを書く(練習のつもりで書く)
下書きというのがポイントです。
文章が書けない。最初の一文字が書けない。
こういう場合の理由は意外とひとつです。
いきなり本番のつもりで書こうとしているからです。
下書きとか、練習だからと思うと、書けるものなのです。
今回は会話をしながら、はじめの一歩の後押しをそっとしています。

7.下書きを見直す
原稿用紙の使い方
句読点の位置はいいか
長すぎる文章はないか
話の流れがおかしなところはないか
・・・
チェックポイントはファミジィメソッドのノウハウの部分になるので、一般的なことだけにしておきますね。

8.清書する
作法をていねいに進んできた小学校5年生。
会心の出来だったのでしょう。
嬉しそうです。 ←これが大事です。
満足感あふれる顔つきになっています。 ←これが大事です。

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作文の勝負を分けるのが、2.で登場する「白紙」です。
「白紙から始める」のがポイントです。
先入観のない状態で、白紙から始めて、白紙でどこまで向き合えるか、が大事です。
白紙で成功したら、気づいたら立派な作文ができているということになります。

作文は書く力だけでなく、観察する力、イメージする力が必要になります。
書く練習をくり返ししていくと、これらの力が自然に伸びていきます。
だから、書けるとも言えます。
書く練習はなかなかしずらいものがあります。
そんなご家庭には毎日、その日のうれしかったこと、びっくりしたことなどを保護者が聞くという習慣を作るとよいでしょう。観察する力、イメージする力が伸びます。書くための基礎力のひとつなので、書くための基礎力にもなります。

 

さて、実は今回のブログは本来は別のことを書こうとしていたのですが、途中から作文教育について書き始めてしまったがために、書くべき事にたどりつきませんでした。ということで、今回のお話は次回に続きます

アイロンが壊れた!

然、アイロンが壊れてから約1ヶ月が経ちました。
コンセントにさしても電源が入らないことが頻発していたのですが、ついにお倒れになり、全然熱くならなくなったのが約1ヶ月前のことでした。
今回は、壊れてアイロンを買い換えて1ヶ月の様子をご紹介します。

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実は数ヶ月前から、我が奥様からなかなかあたたまらないことがあるので、そろそろ買い換え時かもしれないと言われていました。面倒くさくてほっておいたのですが、ある晩、アイロンを使おうとしたら、電源が入らない!
一大事です。
我が家ではアイロンは交代で担当しますが、最初に完全にお倒れになったのに気づいたのは私。
ものすごく、あわてました。
こういう時に限って、どうしてもアイロンが必要になったりするものです。

我が家はワイシャツは洗濯機で洗い、クリーニングには出しません。
だから、アイロンはかなり頻繁に使います。
頻繁に使うので、買った後で後悔したくありません。
こんな訳で、実物を見て決めるべき商品だと思い、翌日、さっそく仕事の帰りに量販店に行きました。

展示されていた商品を手に取りながら、一通り品定めをし終わったぐらいの頃に、うわ〜、寄ってきました。
店員さんです。

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自分で選びますからと言ったのですが、おかまいなしに話を始めました。
買って下さいオーラが全開になっている男性の店員さんです。
笑顔が作られた笑顔でした。

私は話しかけられると、思考回路がストップする傾向があります
考えているようで、考えられなくなります
いろいろ言われるとハイハイと言いながら、違うことをはじめる傾向があります
たぶん仕事でもそう思われていると思います。
店員さんはずっと話し続けています。
だんだんイライラしてきました。
でも、商品選びのアドバイスの話ではなく、買ってくれ!のプレッシャー攻撃をしてくる店員さんでした。30代ぐらいの方でしょうか。

さらに困ったのは、やたらと特定のコードレスアイロンをすすめてくることです。
コードありのアイロンを選ぶと後悔するというような雰囲気で話をしてきます。

一番多い量のアイロンは私のワイシャツなので、私がアイロンをしないといけないことではあるのですが、こまめに奥様がアイロンをかけてくださいます。でも、仕事で一週間大忙しという時は、土日にまとめて私がアイロンを担当するということがあります。一度にアイロンをすると結構長時間になります。こういう時にコードレスは不便だと思うのです。
連続して長時間使うので、コードレスではないものを探していると言ったのですが、店員さんはピタッと寄り添ったままコードレスを買わないなんて信じられないという雰囲気をかもし出しています。
充電するのに時間がかかるし、充電が切れたら、また温度が高くなるまで時間がかかり不便だと言ったのですが、かなり進歩しているから大丈夫だと、何としてもコードレスを大絶賛してきます。
何がどう進歩したのか、聞いても教えてくれませんでした。

きっとコードレスのほうが利益が高いのでしょう

この時点で買うものは決まっていたのですが、買うのを中止しました。
残念だったのは、買わないとわかった後の彼の行動でした。
ありがとうございました、家で相談してから買いに来ますと言って去ろうとしたのですが、無言でした。残念なキモチでした。

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その晩、量販店でこれはいいなと思っていたアイロンをアマゾン君で確認したところ、結果的にお店よりも安く手に入りました
買ったのは、これです。

パナソニック コード付きスチームアイロン ブルー NI-S55-A 

パナソニック コード付きスチームアイロン   ブルー NI-S55-A

パナソニック コード付きスチームアイロン ブルー NI-S55-A

 

 私の選択の観点は、

・コード付き
・スチーム力
・値段は数千円程度
・重すぎない
・軽すぎない
・シンプルなデザイン
・できるだけ置きやすい
・メーカー力

重さは壊れたアイロンがちょうどいい感じでしたので、これのグラム数を確認して比較をしました。店頭でグラム数を確認して、持ち上げた時の感触を何度も試して、絞り込みをしました。

本当は「すべりやすさ」も大事だったのですが、こればっかりは、実際に電源を入れてアイロンをかけてみないといけないので、裏側のつぶつぶの穴を見ながら、勘でこれなら大丈夫だろうと判断してみました。
重すぎない、軽すぎないというのは結構重要で、軽すぎると楽ですが、結局、シワを伸ばしにくくなるので、よくありません。
数学と理科を総動員すると、スチームは量が多くて、粒子が細かいほうがよいに決まっているのですが、粒子の細かさはパンフレットを見ても感覚的なことしか書いていないので、これも勘です。底面はチタンコートなので、すべりやすさもよいだろうと予測しました。

アマゾン君で翌日の晩には届きました。
さっそく試してみると、水を入れた時にちょうどよい重みにもなってなかなかです。

もう一歩という部分もありました。
温度調整をしたり、電源を入れるのが、丸いダイヤル式だったこと。
ちょっと固い感じがしますが、慣れれば気にならなくなりました。
安心して買える日本のメーカーがどんどん少なくなってきましたが、パナソニック製というのも当面は大丈夫だろうと思って購入しました。

実は、店頭で確認した時に一番気に入ったのが、コードの付け根部分です。何と表現していいのかわからないのですが、付け根がくるくるとまわる形の可動式になっているので、コードが邪魔になるという感覚があまりありません

2,000円ちょっとで購入もでき、コストパフォーマンス抜群でした。
電源を入れるとすぐに熱くなるので、満足です。

なお、後日、アイロンについて知人の週刊誌の編集者と何気なく雑談をしていた時に教えて頂いたのが、「コードレスアイロンは充電式ではない」という事実。
これにはものすごくびっくりでした。
コードレスは充電ではなく「蓄熱」をするのでした。
スタンドにアイロン本体を置いて蓄熱し、その余熱でアイロンがけするのが記本的な構造だということです。
充電式だと、何回も充電したら寿命も短いでしょうと言われ、そりゃそうだと納得しました。

次に買う時はコードレスがいいと講義?も受けたのですが、まとめてアイロンがけする時は時々、熱をためないといけないので、無駄が多いと思うのです。
何度もしばし待てタイムがあるとイライラするとも思うのです。
スタンドを置いた決まった場所に戻すというのも性格的に向いていません。

編集者の方は、なるほど性格の不一致というのは納得、そういう性格だよねと言われ、ん?、どんな性格だと思っているのだろうと複雑なキモチ。

結論です。
お買い物の一番大事なポイントは、買ったものは、とことんよい評価をし、愛することです。
子供と一緒ですね。
褒めれば褒めるほど、活躍するようになるものです。
アイロンもいいモノ買ったなと、思い込み、信じることが、一番よいのです。
いいモノだと信じているから、キモチも穏やかで、実際、大活躍するものです
もちろん事前に十分な吟味は必要です。
衝動買いは後悔することが多いのです。
よく調査し、実物を見て触り、一晩寝かして、決めたらとことん愛す
これが一番です。