ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

つくられた心 Artificial soul

童文学の界隈には、ステキな小説を書く方がいる。
私が小説についてステキという言葉を使う時は心から称賛している時だ。
好みによって違うとは思うが、少なくとも無我夢中になって読む人が多いと思っている。

今回紹介するのは佐藤まどかさん
東京出身の方だが、今はイタリアに住んでいる。
デザイン専門誌にいい文章を書く人がいるなぁと思っていた方だったのだが、ある時から児童文学も書き始めた方だ。
佐藤まどかさんの作品が発売された。
発売当日に手にすることができた。

 

作品のタイトルは、「つくられた心」。
表紙もすばらしくいいと思った。
これだ。

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浦田健二さんという方が描かれた表紙だ。

表紙のタイトル「つくられた心」の下に英語のタイトルが小さく書かれている。
Artificial soul
ふむふむ、心=heartというのが私の英語力だったので、「soul」という単語を見て、ますますいい小説を書かれる方だと思った。

 

タイトルは
「つくられた心 Artificial soul」
なのだ。

 

お話の内容もわくわくとさせるものだ。
新しくつくられた小・中・高までの一貫校の「理想教育モデル校」が舞台。
少人数クラス、ハイテク設備、学力に合わせた補習授業、そしてスーパーセキュリティシステム完備の未来の学校。
防犯カメラ、盗聴マイクだらけの学校なのだが、クラスにひとりイジメ防止の「見守り係」としてアンドロイドが1体、配置される。
やがてクラスの中でアンドロイド探しが始まり……ここから先は実際に読んで欲しい。

 

人間の心とアンドロイドの心の違いから、本当の心は何かを考えさせる。
いい。ステキだ!

 

Artificial soulのArtificial。

Artificialには、人工的とか、不自然であるさまとかという意味がある。
人工知能のAIは、Artificial Intelligenceだ。
AIという言葉はよく知っていても、Artificial Intelligenceとは知らない人が結構いるように思うので、覚えておくといいと思う。Artificial Grassは人工芝だ。
AIは「エーアイ」と読むが、数年前これを「アイ」と読んでいる人と遭遇したことがあるが、AIには愛があるとステキだ。
「つくられた心 Artificial soul」を読んで、そう思った。

 

Artificial soulのsoul。

心をsoulとしたところに、作者の佐藤まどかさんの心が感じられる。
心を英語に訳そうとすると、結構いろいろな英単語がある。

例えば、
heart
mind
spirit
そして、soul

 

ニュアンスがちょっと違うかもしれないが、いろいろと調べて見ると、
heartは感情的な意味での心。感情や情緒を感じる心だ。物理的な心臓を指すこともある。
mindは知性的な意味での心。思考や意志などにつながる心だ。
spiritは死後にも存在しているという意味での心。霊的で、心に宿る精神も指している。
soulは魂が宿るという意味での心。アイデンティティにかかわる心の深い部分を指している。

こんなことを考えていくと作者の意図や思惑が忍び込んできて、ますますこの児童文学が面白くなってくる。

 

心と言えば、子どもの心はつくられる……これが、教育の世界で生計を立てている者としての率直な実感だ。
例えば、「あの子はいい子」と言った場合、「本当にいい子」の場合と、「大人にとって都合のいい子」の場合がある。「本当にいい子」の場合、結構な割合で「大人にとっててはやっかいな子」であったりする。

 

ところで、児童文学というと子どもの読むものだと思いこんでいる人がいる。
これは大きな間違いだ。
ぜひ大人も読むべきだ。
優れた児童文学は大人になってから、もう一度読むと子どもが読者の文学だからこそ、大人が読むと奥深いものが実は何と多いことか。

ハリー・ポッターも児童文学。
わかる人にはわかると思うが、児童文学の「赤毛のアン」は、女性にとっては永遠のバイブルとも言える作品だ。

 

AIがどこまで進化するかは、現時点でははっきりしないと思う。
AIはAIを進化させようとしている仕事?、使命?をになっている大勢の人物がどこまで追究していくかによると思う。仕事としてではなく、心から追究している人物の力量にかかっていると思う。鍵を握る人物が世界のどこに、どれだけ潜んでいるのかは私にもわからないが、倫理観と未来感のある大勢の人物であってほしいと思う。

 

最後にもう一度紹介したい。

「つくられた心 Artificial soul」

つくられた心 (teens’ best selections 50)

つくられた心 (teens’ best selections 50)

 

 

佐藤まどかさんの作品だ。イタリアでデザインを学びプロダクトデザインの世界の方なのだが、ご自身の子どものために書いた児童文学がきっかけで児童文学作家も始められ、最新の作品がこの本だ。
すばらしい表紙は浦田健二さんの作品だ。インテリアとして飾ってもよいなと思える表紙だ。

 

近未来の東京の小中高校の最先端の一貫校を舞台に、AIと人間が共存する社会を描く。

 

お薦めしたい本のひとつだ。
書店で見かけたら、手に取ってみて欲しい。
「心のある人」なら、たぶん、買っていただけるのではないかと思う。