ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

新しい年のひととき、そして2023年問題

しい年になりました。
我が家は久しぶりにのんびりとしたお正月になりました。

兵庫県の田園風景の広がるのどかな街で研修医をしている息子も戻ってきたので、大晦日と元旦と全員でちょっとだけ豪華にゆったりとした食事会もできました。

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息子は研修医の1年目をなんとかこなしている様子です。
医学部を卒業して2年間の初期研修医、その後の専門的な後期研修医と続きますので、まだまだ修行の身ですが、家族に病人が出ると何かと専門的なアドバイスをしてくれるようになりました。
一人前になるために終日の通常勤務とは別に、当直業務も定期的にこなしているようすです。医学部に入るのにも苦労を重ね、卒業、国家試験合格まで本当に過酷な日々を過ごしていましたが、研修医としての様子を聞くと、医師になるのが大切なのではなく、医師として活躍できるようになるのが本当に大切で、修行が一生続くのだというのも感じます。

仕事の中で医学部を目指したいという中高生の相談を何度も受けたことがあります。
成績ではなく、それ以前に医師を一生の仕事にしていく覚悟があるかどうかが最も大事だというキモチに気づくように接してきましたが、息子の日常の様子を聞いているとなおさらそう思います。
医療の世界はものすごく激務です。
勉強のみの生活をしている受験生と話しをしていると、不安になります。
合格した後の大学生活を自ら知ろうとしない受験生だと余計に心配になります。

特に、今、医学部は劇的に変わろうとしています。
覚悟が必用です。
変化の発端は2023年問題です。

アメリカの医業資格を審査する機関ECFMGが2010年に、2023年から世界医学教育連盟(WFME)が認めた評価機関から認証評価を受けた医学部の出身者しか米国医師国家試験の受験を認めないと宣言しました。
アメリカで医師として働くというのは日本の医学部の卒業生の中でもまれなケースになるので、一般社会から見れば無視してもいいと思うかもしれませんが、医学部の間では2023年問題と呼ばれ、急ピッチで対応を進めてきています。
今までは医学部は国家試験の合格率で比べられたりしましたが、WFMEに認定されているかどうかで、医学部の格差や序列化に変化が生まれる可能生があります。志としても、能力としても優秀な学生が進学先を選択する時の基準のひとつにする可能性が高まります。
WFMEの認定が目的ではなく、格差化に巻き込まれないようにするのが目的の大学もあるようですが、一方で健全な取り組みをしている医学部はこれをきっかけに医学教育の中身が劇的によい方向に進んでいこうとしています。
内部からの変革は進みにくいですが、外圧でよりよい方向に進むのはチャンスと捉えればよいのだと思います。

さて、日本ではそもそもWFMEに基づいて評価する機関がなかったため、急遽、2015年12月に日本医学教育評価機構(JACME)が設立され、2017年3月にようやくWFMEからJACMEが正式に認証されました。
2023年問題への対応は結構綱渡りで進んでいます。
元々日本の医学部の教育は世界的に見ても高い水準ですが、世界標準と比較すると患者に接する臨床実習が不足していたことが大きな違いでした。今までの医学部の学習量は維持したまま、臨床実習が増えるので、根本的に医学部の生活は今まで以上に過酷になりつつあります。2017年度の新入生が卒業するのが丁度2023年になるため、医学部の現場に変化が急ピッチで起きているのです。既にここ数年、かなりの変化が起きています。
今後、医学部の間で嫌でも大きな差が出てくるはずです。
医学部の変化の動きによって、関係性の高い薬学部も変わろうとしています。薬学部が変わると・・・。

進路のアドバイスをしようとすると膨大な情報とデータが必要になるので、大変ですが、難度が高すぎて大変です。人に言われて、進路が変わったとならないように、必要なタイミングでさりげなくヒントや情報を提示し、本人が考え、正しい判断ができる状況に導き、自分自身の意志で決めるとならないと意味がないようにも思うので、進路指導は難しい分野です。
ということで、いつ役に立つのかわかりませぬが、地道な諜報活動が続きます。