ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

うれしい連絡、そして高校受験と大学受験の昨今

回は、小中高のそれぞれのお話です。

 

まずは小。

 

東京都狛江市で3年間だけ開いていた小中高校生のための塾のようで塾ではない場がありました。最後までがんばってくれた、今、小6の男子とお母さんから手書きのお手紙が届きました。
私立中学に合格しましたという知らせでした。

 

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私と出会った時は私立中学なんて考えていなかったと思います。

単に学校の試験が思わしくないので、家のすぐそばなのでやってきましたという感じでした。
最初の頃は長年の経験に基づく勘でしたが、普通の中学では枠に収まらない子ではないかと思いました。

 

のめり込むととてつもない集中力と学習力を発揮しますが、嫌なことは嫌だとはっきりしています。次の行動がまったく読めない子ですが、その行動には本人なりの理由があります。自分のキモチに素直すぎる形で突っ走り出すので、学校では誤解を受けやすいだろうなと思いました。

 

打ち解けていく中で、学校での様子を少しずつ本人から聞き出していくと、やはりというか、悲しい接し方をされていることがわかりました。でも、とてつもない才能にあふれているのは毎回接する度にわかりました。多人数の教室運営では、やんちゃな部分を受け入れ、眠っている才能に気づき、伸ばすのは余裕もなく困難なのでしょう。

 

このまま近くの公立中学に進学した場合の授業での様子やその後が手に取るように予測できたので、お母さんとの個別面談で私立中学を受験することを勧めました。
かなりびっくりされていました。
面談の前に、あらかじめ候補にできる私学に何度も訪問し、入学した後に彼の可能性を最大限に引き上げてくれる体制があるかを設備、シラバス、中長期計画、必要な費用、先生方、組織運営、その他もろもろのことを把握し、選定した上でお母さんに話をしました。

 

とんでもない。

何を言い出すのだとお母さんは思われたことだと思います。

 

ご家族も本人も気持ちが決まった頃、ちょうど1年前ですが、残念ながら勤務先の決定が出て運営していた施設を閉鎖することになりました。心残りでしたが、この塾なら、この先生方なら大丈夫だろうと思えるところに移っていきました。

どうしたかなぁと思っていた頃、合格しました!という手紙を受け取り、嬉しい、嬉しいキモチになりました。

 

お母さんの手紙によると、他の私学めぐりもし、進学先の私学には結局10回も見に行ったと書いてありました。本人のキモチが一番大切なのですが、伝えていた受験作法を実行してくれたこともわかり、ますます嬉しいキモチになりました。
結局、本人がこの私学1本で受験したいと決め、保護者もそれを後押しし、入りたい1校のみを受け、見事合格特待生にもなったというおまけ付きでした。
大変革を宣言し、形も中身も変える取り組みを数年前から実行してきている私学で、6年後の大学受験の時には注目を集めているに違いないと思います。

 

嬉しい手紙でした。


次は中。

 

高校入試は東京と神奈川は終了。千葉の後期試験と埼玉が3月1日にひかえています。

 

全体的な傾向として、今年の東京の中3生は私学への進学に舵を切る割合が増えているように思います。肌感覚でも感じられます。
2020年大学入試改革への不安と私立高校無償化の影響が思っている以上に大きくなってきていると感じました。単に勝負を避けるためではなく、自分の未来を最善の結果にしていくための舵取りであって欲しいと思います。

 

狛江で接していた中3生からも私学が第一志望で、合格したので、進学しますという連絡が複数来ています。私から見てもとてもいい私学で本人たちにとっても相性のよい選択をしていたので、ほっとしているところです。残りの中3生も先週、都立高校の入試に挑んでいます。後は結果を待つばかりです。

 

今年から日比谷高校や西高校など難関校は自校作成問題になりましたが、受験した中3生に聞くと、スピードと時間配分で差がつくような問題だったということでした。都立西高校の国語では説明文の問題は佐伯啓思さんの「経済成長主義への訣別」だったそうです。去年の7月に発売された書籍です。経済成長が人々を幸福にするというのは誤解だという指摘をしている経済というよりは、経済哲学の本でした。西高校としてのキモチを感じました。西高が生徒に求める生徒の力量、生徒の姿を感じさせる題材だなぁというのが正直な感想です。哲学は生きる上で大切だと思うのですが、それも入試問題から感じ取ってくれたらと思いました。

今回から久しぶりに自校作成問題が復活したのは、各高校の心意気が全面に出せてとてもいいと思いました。

 

理社は共通問題ですが、公表された問題を見ると、問題に異議ありとならないように今年は例年になくおとなしい作問になっていると感じました。


最後に高。

 

国公立大学は今日から2次試験がスタートしました。
多くの国公立大学では、今日の日曜のみの場合と2日間の大学があります。
医学部は2日間が多いですが、東大と京大などの医学部は3日間もあります。
東京藝大だと2次試験の中でさらに二段階選抜になっていて1次試験と2次試験があり、3月の9日までと長期間の戦いです。

 

こんな中、2月22日(木)に東京新聞を読んでいて、目が釘付けになりました。著作権のこともあるのでほとんどをモザイクにしましたが、かなりの広さの紙面を使っているのはわかって頂けると思います。

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タイトルは「相次ぐ出題ミス なぜ起きる」
大阪大、京都大での入試問題の出題ミスを最初に取り上げているのですが、途中でこんなことが書かれています。

 

「ある難関大学の教授によると、試験の当日、ファクスで大手予備校に問題用紙を送り、誤りがないかどうかをチェックしてもらう」・・・・・という知らない人にとってはけっこうびっくりするような内容です。

 

いわば受験産業の表に出しづらいメニューの仕事がいろいろあるというのは、長いこと教育分野で仕事をしていると、自然に伝わってくることがありますが、普通は表に出てきません。
正直、えっ、これ報道していいの?と思いました。
教育の世界の複雑怪奇な相関図が垣間見えてきます。

 

入試問題を作るという仕事は大学の先生にとっては本職ではないので大変だと思いますが、できるだけミスをなくし、公平性を担保する仕組み作りは永遠の課題だと思います。

 

入試問題の作問改善の取り組みとしては、岐阜大を中心としてスタートした過去の入試問題の相互利用というのがあり、現在は100大学以上になっています。

 

入試過去問題活用宣言

http://www.nyushikakomon.jp/index.html

 

東大、京大のように独自性の高い良問を作り続けている国立大学や早慶をはじめとするいわゆる私立の難関大学は元々作問を維持する体制作りが可能だからでしょうか、参加していませんが、相互利用で難問奇問が減り、良問で受験できるのはいいことだと思います。

 

作問の外部委託というのも存在しますが、ブームや過渡期は過ぎて、一部でのみ続いているようです。
偶然問題が漏れるというリスクが高いからだと思いますが、入試問題の作問を請け負っていると公表していた河合塾は10年程前に中止宣言をしました。今は、作問力のある予備校の一部では請け負っていますが、かなり大変そうです。悪意がなくても問題が漏れるリスクがあるので、仕事の大変さに比べて利益が出せないので、仕事としてするのはかなり大変なことだと思います。

 

今年の入試では作問や採点のミスのない正しい選抜がおこなわれることを祈るばかりです。