ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

ムサビの卒業・修了制作展

蔵野美術大学の卒業・修了制作展が21日の日曜日までおこなわれている。
美術とは関係のない仕事をしているが武蔵野美術大学、通称ムサビのこの種の展示会に行くとヒントがころがっていて、ものすごい収穫があるので、今回も行ってきた。

娘が視覚伝達デザイン学科、通称・視デを卒業しているので視デの4年生の作品がたくさん展示されている10号館に向かいます。
と、途中で遭遇したのが、これ。
中庭の光景です。

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ちょっと離れてみるとこんな感じです。

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ほほえましいですね。

 

中国に行って兵馬俑坑を見学したことがあるのですが、その時は衝撃、今回はほのぼのというキモチでした。ココロは出迎えご苦労様というところでしょうか。
この人数規模なら、ホンモノの人間が実演しても面白い。生きている人間ならば、・・・などと黒い服装の集団の中を歩きまわりながら思いました。
数人混じっているだけでも面白いかもです。
帰ってきてから、そう言えば誰の作品かなんて何も確かめなかったなと思ったのですが、ちょっと心残りです。

 

卒業制作は4年間で創り上げてきた志や学んだことを形にする未来への挑戦状だと思います。想像していなかった黒集団との遭遇おかげで、少しワクワクしたキモチでいざ会場へ。

 

10号館の一番上の階に行くと、いつも定位置の場所にあるのが、基礎デザイン学科の原研哉教授のゼミの展示。毎年、テーマをひと言の言葉にして、それを深掘りしていって作品にしています。
今年のテーマは「スレスレ」


面白い言葉です。
なぜか即座に遅刻スレスレという言葉がよぎりました。
スレスレには切迫感のスレスレとよかったねのスレスレがあるなぁ。
自分だったらこの言葉からどんなことを考えるだろうかと思案してから、室内に入っていきます。
すると大抵、自分のココロの中のアイデアとはまったく違って裏切られる。
ここが刺激的です。

 

デザイン系の発表、創作物は情報を形にする、視覚化するという側面があります。
だから情報を形作るひとつである言葉は大事です。
デザインは言葉をひろうということが出発点になるのだと思います。
言葉におぼれすぎて、メッセージはいいけれど、形はこうなるのか?という作品にもいっぱい出会ってしまいますが、本気度のある作者は見ていてもなんとなく伝わってくるものです。

卒業・修了制作展を見てまわっている途中でお食事タイム。
今回はムサビランチ350円です。

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すばらしいコストパォーマンスの昼食でした。
近くで友だち同士でランチをしている集団の声が自然に聞こえてきましたが、美大生のおしゃべりはいい意味で奇想天外。ここでもヒントを頂きました。

 

ふたたびアートとデザインの空間を探索。
アートは表現、デザインは行動の伝達といったところでしょうか。
美大には数学の素養やセンスのあるなしで違ってくるなというのが実感できたのも収穫でした。実際、おっこれはいいという作品を創っていた学生3人に高校時代までの美術以外で好きな科目を聞いたらそろって数学と言っていました。

 

特にデザイン分野は本質を見抜くことが肝になるので、正しい数学の先生に教わっていれば、数学という教科の中で問題解決能力を存分に伸ばす機会を与えられるので数学は大事な教科のひとつなのです。

 

妙な方向に話が進みそうになってきたので、パチパチと撮ってきた写真を紹介してオワリにします。

 

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↓ 12号館の地下は広くてゆったりとした展示空間です。

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↓ 体育館も広〜い。

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8号館と体育館の間に建設中だった道路が完成されていました。

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いずれは新五日市街道と呼ばれる30キロメートルほどの道路ができるのですが、その一部としてできた道路です。ムサビはきれいにキャンパスが分断されたのですが、他地区での道路工事はほぼ未着手です。用地買収がまだまだということのようです。今回できたのは30キロメートルのうちのわずか550メートル。
道路がない頃を知っている者としては、ちょっとさびしいような、この550メートルの道路がムサビをいい意味で変えるきっかけにもできるのではと思いました。
「美」の世界には力があるのです。

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↓ 視デの学生さんの作品。

写真だと伝わりにくいですが、黒へのこだわりがあります。

黒にはたくさんの黒があり、質感によって黒にも違いが出てくるというのをじ〜と見ていて教えられた作品でした。こういう地道なモノの見方の追究が、ある日突然の大作につながるのだと思いました。

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↓ 「鉱物はおいしい」というタイトルの視デの新島ゼミに所属する方の作品。
作者によると鉱物は可愛くって、美味しそうなのだそうです。
鉱物と食べ物として描き起こしています。
ふむふむ。人には見えないものとして見えてくる力は大事ですね。

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↓ 顔を読む/詠むというタイトルの視デの方の作品の一部

たくさんの顔が展示されていました。

言葉には限りがあるが、表情は無限なんだというのを気づかされた作品。

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↓ 絵歯車物〜歯車で見る長篠の戦い〜、というタイトルの視デの方の作品

長篠の戦いに至るまでにはたくさんの人と人の思惑や出来事があったということを歯車を使って表現されています。人間の営みと幾何学的な美しさがいいなと思いました。数学は美なのです・・・という言葉が浮かんだ瞬間でした。

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↓ よくわからなかったけれど、力を感じた作品。

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↓ 動きの本棚というタイトルの基礎デの学生さんの作品。
収納の本棚ではなく、本棚を自由にしたそうです。
じ〜と見ていたら、友達になれそうな本棚・・・と小さな子供が感覚で感じるかもと思った作品でした。子供のいる場での試行錯誤を続け、価格との折り合いをつけると魅力的なものになるなと思いました。

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皆の卒業後の未来を応援しています。