ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

好きな作家の名前

大、美大受験の相談を先日、受けました。
相手はお父さん。
娘の受験の時の様子を交えながら話をしました。

 

デザイン系で合格するには学科試験の力が必須。
デッサン力も必要。
但し、実技試験は描ければいいというわけではなくて、出題者の意図を読み取る洞察力、観察力、読解力、理解力も必要。
実技は見た目上手ではだめで、技術的に確固たる基礎力が大前提。プラスαで、発想力。
あとは、瞬発力+スピード力と体力です。

こんな話をまずしました。

 

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そして準備に必要でもっとも大事なのは人です。
指導を仰ぐ師匠が必要です。
厳しい講評をしてくださる師匠の元での特別な訓練が必要です。

最近は絵が描けなくても合格できる学科も増えてきていますので、AO入試や推薦入試で入るという方法もありますが、あまりオススメできません。
入学後の4年間での成長度合いがまるで違うからです。
描くことを学ぶのが大学ではないですし、デザイン系では、それこそ経営学も学ぶ必要が高まってきているのが今の実態です。

 

タマビグラフィックデザイン学科とムサビの視覚伝達デザイン学科はどう違うのかという質問もされました。タマグラと視デを両方とも合格して視デを選んだ娘の例を出した時には質問攻めにあいましたが、この難問の正解は一人ひとりで違ってきたりするので、理解して頂くのに苦労しました。
藝大は入る時に天才の悟りが必要だなと思いますが、タマグラと視デはデザインに対する姿勢が根底のところで違います。
まずそれを理解できる土台を作らないと、判断できないと思います。


娘の場合は結果的に本人が自分の意志で選択した(たぶん…)と思っていますが、両方合格した後に悩んでいる時に、プロの視点で、娘のことをよくわかった上でアドバイスしてくださった師匠と言える方には本当に今でも感謝しています。

 

娘の頃と今とではまったく異なる受験環境なのですが、志望分野が娘と一緒のデザイン系だったので、受験よりも卒業後の進路についての話も長くなりました。

 

最終的には美大予備校をまず訪ねるようにアドバイスしました。
普通の進学校に通っている娘さんのお父さんでしたので、師匠が必要だからです。
現在の受験情勢を把握した上でのプロの進路指導も必要です。
特殊な受験作法、戦略も必要になるので、やはり美大予備校の右に出るものはありません。

 

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娘は高1の時から美大予備校に通いましたが、今でも想い出すと笑ってしまうのが、申し込みに行った日のことです。
東京では当時3か所の突出して力のある美大予備校があり、体験と説明を本人が聞いて決めました。相性も大事ですし、自分の意思がもっと大事です。

支払いもあったので、私がひとりで申し込みに行ったのですが、申込用紙を出したところ、その場で一旦却下されました。
裏側にアンケート欄があり、記入していなかったのです。アンケートは任意だと思っていたのでした。

 

娘に電話をして記入しますと伝え、一旦、予備校の前にあった喫茶店へ。
聞いて書くなんて面倒くさいと思ったので、勝手に記入して、再度、受付へ
先ほどの受付女子の方が確認をして受理してくださったのですが、裏のアンケートの欄を見て、なぜか微笑んでいます。
微笑んでいるというより、クスクスという感じです。必死に笑いをこらえているようにも思えました。

 

家に帰ってから、まったく悪気もなく、娘にアンケートは勝手に書いておいたからと伝えたのですが、何と書いたかを聞かれたので伝えたところ、1か所の所で怒られました。
そのアンケート項目は「好きな作家の名前」でした。
娘の好きな作家など、わかるわけがないので、実は私の好きな作家の名前を書きました。

 

好きな作家の名前は宮部みゆき

烈火のごとく叱られました。

 

美大予備校で好きな作家と言われたら、小説家のわけがないでしょうと。こう言われた時は衝撃でした。
創作系の作家の名前を書くべきだったのかと気づかされたのですが、やっと受付女子の微妙な微笑みの意味がわかりました。
自分ながら、やれやれと思ったのはなつかしい想い出です。

 

予備校、師匠の先生のお陰様で意味のある大学生活につながりました。今ではある企業の宣伝部で仕事をしていますが、今年から勤務先の主力製品の担当をしています。
毎日、CMで見ない日はほとんどないというような商品ですが、これから娘の独自色が出てくるのが楽しみです。
これも娘の予備校、大学での師匠があってのことです。


ホンモノは人からしか学べないというのを心から実感しています。