ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

プログラミング教育とココロを刺激するロボット

い先日、ある小学校でプログラミング教育の授業を見学してきました。
プログラミングでロボットもどきの物体を動かすことをしていました。

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「プログラミングを通して論理的な思考力を学習し、これからの時代を生きて行くのに必須となるリテラシーを身につけます。ブログラミングを学ぶと社会に出た時に有利で、子供たちの可能性を広げます」という説明が先生からはあったのですが、どう観察していてもプログラミング言語の使い方を学習しているとしか見えませんでした。

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今回は、大昔に仕事でお世話になった先生に頼まれて行ってきました。
その先生も来られていて、嫌な予感がしていたのですが、終了後に授業を振り返る懇談の場で「感想を」と話をふられてしまいました。
勤務先の仕事ではなく、友人のひとりとしてなら行ってもいいですと伝えていたこともあり、「コンピュータ教育に何十年も関わってきている友人で、最近はチョコレートとロボットと宇超エレベーターになぜか興味津々の方です。今日は仕事ではなく個人として来て下さっているので勤務先はヒミツです」と紹介してくださいました。
ん〜、得体の知れない人みたいな紹介の仕方ですが、他にも知り合いの先生がいたので、くすくす笑われてしまい、妙な雰囲気です。確かに昨年のチョコレート検定でショコラアドバイザーなるものをゲットしたり、最近は日本ロボット学会宇宙エレベーター協会なるものに所属したりしていますが、変な人ですね。

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こんな話をしました。

今日の授業では、たぶん大多数の子供たちがプログラミングでモノを動かすことができたというだけの印象で終わってしまっています。プログラミングは入り口として、その先のコンピュータサイエンスを学ぶ活動につなげて欲しいと思います。大事なのは楽しいかどうかですが、プログラミングの楽しさで終わらないようにして欲しいと思います。
プログラミングの技術を教えるという視点は持ちすぎないことが大切です。
例えば建築家が大工の技術はあったほうが仕事の視点は深まりますが、建築家は大工の専門家である必要はありません。プログラミングを教える時もプログラマーの先を見据えた学びにつながるかどうかの視点を持って子供たちに接して下さい。

と、ここまでは、たぶん何か話を振られるに違いないと思っていたので、準備していた話なのですが、友人の先生から「そう言えば、ロボットの分野を熱心にされているので、この観点からも話を・・・」などと言われてから妙な話を始めてしまいました。

 

子供向けのプログラミング教育というと画面上で物体を動かすとか、ゲームを作るとかから始まって、最後はロボットを動かすということになりかねないですが、ロボットは奥深い領域です。
男子はプログラミングにはまりやすい傾向があるので、ゲームを作ったり、ロボットを動かしたりがウケやすいものですが、女子はちょっと違います。関心を示しにくい傾向があると思います。
人間は感情で動く生物です。ロボットは今は命令に忠実に従う機械です。
せっかくなので、プログラミングやロボットを通して人のキモチとか、人の感情の大切さに気づく活動も取り入れるという視点を持つとよいと思います。

ちょうど読みかけのロボットの本を持ち歩いていたので、まずはそれを紹介しました。

〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション

という書籍です。

 著者は豊橋技術科学大学の岡田美智男先生。
「弱いロボット」というコンセプトを提唱し、研究を続けている方です。
自分ではゴミを拾えないロボット。
人の目を気にしながらたどたどしく話すロボット。
一緒に手をつないで歩くだけのロボット。
ひとりでは何もできない、誰かに助けてもらわないと意味が出せないロボットとのコミュニケーションを追究している方です。
自分ではゴミを拾えないロボット。その愛おしい動きを目にした人は、なぜかゴミを拾わないではいられない気持ちにさせられてしまいます。結果的にチームとして、ゴミを拾うという目標が達成されることになります。
「弱いロボット」を追究することが、人のコミュニケーションの仕組み、人間らしいコミュニケーションについての追究になっているのです。
できることを増やす、弱さをなくすロボットではなく、
弱さを残したまま、周囲を巻き込めば問題は解決するという発想です。
足し算やかけ算の発想ではなく、引き算の発想です。

21世紀は知識の量ではなく、独自性のある視点を持ち、チームで協力しながら考え、創造していく力が必要とされています。
プログラミング教育でロボットを使うとした時のヒントが詰まっている書籍です。


プロジェクタがあったので、その場でアマゾンを開き、もうひとつ書籍を紹介しました。

ロボット・イン・ザ・ガーデン 

ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)

ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)

 

 仕事をせず妻に愛想をつかされたイギリスに住む中年男が、庭に迷い込んで来た壊れかけのずんぐりむっくりのロボット「タング」を直そうと四苦八苦する人間とロボットの友情物語なのです。AIの発達でもう廃棄処分になるべき時代遅れのロボット「タング」と接することで、何かが彼のココロに目覚めたのです。親子のような関係の珍道中です。
2016年のベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた小説です。

表紙のイラストは酒井駒子さん。
絶妙なイラストがイメージを膨らまします。
イラストと同じで、ステキな小説です。

書籍を2冊紹介して、伝えたかったのは、無機質な形で自己満足でロボットを教育の場で中途半端に扱わないで欲しいということだったのですが、キモチが伝わったかは定かではありません。
例によって、変な人と思われたに違いありません。
やれやれです。