ココニコのキモチ

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いろどり工房ココニコ管理人(ボランティア)のキモチブログです。日常生活と本職(教育分野)の気づきのお話をしています。

書く書くしかじか

く書くしかじか・・・こんなタイトルで先日、ボランティアでお話をしてきました。

相手は私立の中学、高校の国語の先生方が20人ほど。
仕事柄、学校の先生方と接することがかなりありますが、今回の先生方とは仕事のおつきあいではないので、気兼ねなく言いたいことを話してきました。

「書く書くしかじか」とは日本語だと「かくかくしかじか」、「斯々然々」と書くのが普通です。
長~い説明を省略している時に用いられる言葉です。「かくかく」はこれこれとか、こうだこうだとか、具体的な内容を省略する意味合いがあり、「しかじか」はこのようにとか、わかりきったことの説明を省くという意味合いがあります。
これこれこういう訳でという意味で、前に言ったことと同じですからここでは省力しますねということを伝える言葉です。説明が長くなるととても面倒な時に、「かくかくしかじか」といってごまかしてしまうという使い方もされます。

さて「書く書くしかじか」ですが、漢字からもわかるように「書く」がお話のメインです。
「書く」についてのいろいろな切り口での語りつくすがテーマです。

ひとつ目のお話が「パソコンで階層構造で書く」。
そもそもは私がパソコンで文章を書いている時にのぞき込まれ、「その妙なソフトは何?」と聞かれたことが今回の発端です。
ノートタイプのMacを使っているのですが、文章を書く時はエディタを利用しています。

ワープロで書かないの?
不思議なソフトですね。

ワープロは機能が豊富です。見た目の表現のためとか、印刷が目的のソフトです。
書くことに集中できるようには作られていないと思います。
ちょうどブログを書いている最中をのぞきこまれたので、隠すものでもないので、そのままご覧くださいということで、ずっとのぞき込んだままだったのが今回の依頼の主の私立高校の国語の先生。
ブログを書く時は、いつも、まずキーワードをダダダと書き出し、順番を入れ替え、キーワード毎に本文を書き出し、キーワードと本文のかたまりを入れ替えたり、切ったり、貼ったりして仕上げていきます
こういう作業に一番適しているのがエディタです。
・ソフトの起動や動きがとても軽い。
・置換や検索がすごく楽ちん。
・文字数も確認できる。
・自分の使いやすいようにカスタマイズもできる。
私が特に利用しているのがアウトラインエディタという種類のエディタです。
全体の構成がツリー表示でき、ブロック単位で階層構造を上下に移動させたりできるのです。

社会人のスタート時はプログラミングがお仕事でしたので、どうしてもエディタが身近な存在だったというのもあります。

ふたつ目のお話が「パソコンで縦書き」。

私がMacで今愛用しているのは、
ScrivenerというアウトラインエディタとHagoromoというエディタです。
HagoromoはMacでは珍しい縦書きが可能なエディタです。縦にも横にも書けます。
縦書きを使うと発想が違ってくるので、行き詰まった時はHagoromoが多いでしょうか。
ちなみに、Windowsのノートパソコンのほうが軽いので、こちらを使うことも多いですが、WindowsではMMエディタというソフトを使っています。縦書き、横書き、アウトライン全ての機能がそろっているエディタです。

縦書きの文化があるのが日本です。
縦書き、横書き、両方が浸透しているのはすばらしいことです。
例えば路線図。
小さな場所に駅名の文字を並べないといけないですが、横書きだけだと美しい路線図を作るのは難しいですが、縦書きを併用すれば一目瞭然です。

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すばらしいことです。路線図は日本語の縦書きによって美しい作品にできるのです。

みっつ目のお話が「左利きで書く」。

閉校した狛江の秘密基地には二人の左利きの生徒がいました。
いつも観察していたので、よくわかったのですが、左利きというのは筆記具を押して書くという動作になります。右利きだと押して書くということはありませんが、左利きは押して書くのです。
また、左利きは書いた文字が自分の手で隠れてしまいます。右手だと自分で書き終わった文字も確認しながら次の文字を書くことができますが、左利きはこれができません。
左利きはまっすぐ書けなかったり、鉛筆の芯の粉で手が真っ黒になったりします。
がんばって書いていても、うまく書けない、手が汚れる。

でも縦書きだと、縦書きで右から左に手が進むため、手が汚れません。
左利きの子供はもっと強く書けとか、丁寧に字を書けとか、いろいろと学校の先生から言われることが多いというのが経験上わかっていたので、国語の先生方には縦書きを指導にうまく使うことと、左利きの生徒の手の動きの特性を繰り返しお話しました。

よっつ目のお話が「手で書く、万年筆で書く」。

狛江の秘密基地を終えた日の夜、ささやかな打ち上げの会をスタート時の上司の方々が中心となり実施してくださいました。3年間続けてきて、この間に上司の方々は退職され新たな道に進まれていたのですが、最終日に来てくださいました。
感謝の気持ちでいっぱいでしたが、その場で、プレゼントも頂きました。
これです。

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万年筆です。
パイロット製の万年筆ははじめてだったのですが、Mサイズのペン先で、書き味もとてもよくて、今は毎日持ち歩いていて使っています。
イデアを練ったり、膨らましたりという時は、アウトラインエディタか、手書きが私の作法です。今回頂いた万年筆はブラックブルーのインクだったのですが、色を変えることで気分も変わり、発想も幅が広がります
パソコンで書くと、同じ大きさと形のフォントで書き続けることになりますが、万年筆のよいところは中字のサイズのMだと文字の線の太さを微妙に変化させることもでき、文字の大きさはもちろん自由、配置も自由ということで、手書きだからこそ生み出すものが違ってきます。
手のぬくもり、キモチが文字に伝わります。
思考に刺激を与えることができます。

うれしい万年筆のプレゼントでした。
こんなことも話をしながら、先ほどの左利きの子供には万年筆が威力を発揮するタイミングがあるということも伝えました。
万年筆は力がかからずに書ける道具なのです。
インクをさら~と紙の上をすべらすことで文字が書けます。
左利きの子供にとっては、画期的な道具です。
但し、子供が書くということに対するキモチが整っていないタイミングでは効果が半減します。
タイミングを間違えるといけません。
苦労して苦労して文字を書き、何とかしたいというキモチが高まっている時が最適のタイミングです。ご家庭との連携も必要です。

最後のお話が「もう一度、かくかくしかじか」。

東村アキコさんという漫画家の代表作のひとつに

かくかくしかじか 1

があります。
美大受験の高校生活、大学生活、就職、漫画家にたどり着くまでを描いた作品です。
東村アキコさんは海月姫東京タラレバ娘などの作品でも有名です。

海月という漢字、読めますか?
わからなかったら、すぐに調べてください。こういう行動が子供に身につけて欲しい小さな行動習慣のひとつです。
などと話をいろいろしてきましたが、娘が美大を卒業したこともあり、美大受験のイロハの質問も相次ぎました。基本はどれだけ手を動かしたか、どれだけ観察力を養ったか、どれだけ正しい評価のできるプロにぼろくそに言われても負けなかったか美大受験には大切です。

こんな話と質疑応答で90分。
ボランティアの会だったのですが、アウトプットをすることで自分の学びになることが多いので見えないメリットをたくさん頂きました。